新幹線、次世代の営業列車を生む「試験車」の系譜 かつての「1000形」から、最新型のALFA-Xまで

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

パンタグラフやパンタグラフカバーも複数のタイプの比較試験を行い、ワイングラス形のパンタグラフカバーは700系量産先行試作車の1両クローズ形パンタグラフカバーに反映された。しかし700系で低騒音シングルアームパンタグラフとガイシオオイ、二面側壁が実用化され、パンタグラフカバーは以後登場していない。

300Xは1996年7月26日に時速443kmを記録。この記録は現在も破られていない。2002年2月1日付で300Xは廃車され、955-1は米原風洞で保存。955-6はリニア・鉄道館で展示されている。

300Xの1号車の先頭部はカスプ形を採用。CFDの解析を行い最後尾時の走行風の整流を図っている。この考え方は700系、N700系、N700S、超電導リニアの先頭部にも生かされている。米原風洞で保存(筆者撮影)
300Xの6号車はラウンドウェッジ形の先頭部を持つ。最高時速443kmを記録したときはこちらを先頭にして走行した。現在はリニア・鉄道館でC62 17、超電導リニアMLX01-1と共に展示されている(筆者撮影)

JR東日本E954形FASTECH360S・E955形FASTECH360Z

FASTECH360(FASTとTECHNOLOGYの造語)は、E2系・E3系に続く次世代新幹線を開発するための試験電車。目標最高速度を時速360kmとして、2005年にフル規格の360S、翌2006年にミニ新幹線の360Zが製造された。

STAR21と比べてFASTECHは営業車両向けの現実的な技術開発を目的としていた。特に時速360km運転に関する環境性能・乗り心地・制動性能・動力性能の向上に主眼が置かれた。

FASTECHによる試験走行の結果、時速360km運転を行うためにはいくつかの課題が残った。そのため営業最高速度は時速320kmに決定しE5系・E6系が開発された。

FASTECH 360S・360Zで採用され、E5系・E6系に生かされた技術としては。アローラインベースの先頭部形状・全周幌・床下機器カバー、片持ち構造の低騒音シングルアームパンタグラフ・多分割スリ板、E5系のパンタグラフ遮音板、空圧式キャリパブレーキ・多分割ブレーキライニング・中央締結式ブレーキディスク、空気バネストローク式車体傾斜装置(ただし傾斜角度は2度→1.5度)・電気式フルアク等が挙げられる。

次ページALFA-Xの技術はどう生かされる?
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事