日本のメガネ屋「インド企業と経営統合」のなぜ オンデーズがレンズカートと組む狙いとは

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実際に、ヨーロッパでは巨大眼鏡チェーンが出現し、M&Aが活発化している。またアジア市場で戦うには、中国企業も大きな脅威になる。現地では2012年に創業し「眼鏡界のZARA」を目指すLOHO眼鏡が、製造直売+ECのモデルで急成長し、店舗も1000近くに広げている。

日本の無印良品やダイソー、ユニクロを意識し、今や世界100カ国に5000店舗を展開する名創優品(メイソウ)は、創業者が2013年に日本を旅行した際に雑貨店にメイドインチャイナの商品が並んでいるのを見て、「中国で商品を作れるなら、自分のほうがうまくやれる」と同社を立ち上げた経緯がある。眼鏡で同じことが起きても不思議ではなく、レンズカートとオンデーズもその危機感は共有しているだろう。

「5年で日本でナンバーワンになる」

一方で国内の競合の状況をみると、首位の眼鏡市場は2011年から10年で店舗数を1.5倍に増やし、2021年に1000店舗を超えた。価格破壊を起こしたJINSも2011年に120店舗だったのが、2021年には5倍の660店舗体制に拡大している。直近の売上高を見ると、眼鏡市場を運営するメガネトップは約822億円、JINSは約639億円で、1000店舗、1000億円が1つのメルクマールになりつつある。

オンデーズの2022年2月期の売上高は220億円で、上位2社に追いつくのは容易ではない。ただ田中社長は、「5年で日本でナンバーワンになる」と強調し、レンズカートとの統合が「限界突破」を果たすピースになるとの自信を見せた。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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