リーダーなら身に付けたい「トラブル対処」のコツ 感情を理性でコントロールし、表に出さない

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苦情に対しても、

交渉相手「あなたのチームの××さん、おかしいよ。まったく対応してくれない」

リーダー「本人も考えがあってのことだと思います。確認して連絡させます」

と切り返し、安易な謝罪は入れないようにすることです。もちろん、個別に本人と会話して、確認します。

もし、交渉相手の気がおさまらない状況にまでいたっている場合は、事前に「演じるからな」と申し合わせ、謝罪に行って相手を落ち着かせるなどの措置をとれば、メンバーを売らずにその場を収めることも可能です。

録画されていると思って話す

コロナ禍を経て、オンライン会議が日常的になりました。

会議以外のやりとりも、職場での気軽な雑談が減ったぶん、Slackなどのオープンなチャットによる会話が増加しています。そして、それは、日々の打ち合わせのやりとりや、ちょっとした会話の内容も映像や文書などで履歴が残りやすい、ということでもあります。

特別の意図はなく、ソフトウェアに機能として備わっているからと、気軽な気持ちで会話を録画、録音、文字起こしするということは当たり前のように行われています。何かあったときのために普段から情報収集は抜かりなく、という姿勢なのでしょう。

これに対する是非自体は、ここでは問題にしません。

ただ、リーダーはこのあたりに配慮しつつ、うまく対処する必要があります。昨今、「ハラスメント」という言葉が世に広がり、それまで泣き寝入りしていた人が声を上げやすくなりました。多くの問題が明るみに出て解決に向かいはじめたという意義があります。

先日も、権威あるビジネス雑誌が「パワハラ大国ニッポン」という特集を組んでいました。それによると、この社会的な努力を悪用した「ハラハラ」(なんでも「ハラスメント」だと言い立てるハラスメント)なるものもあるようです。

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意見の相違や好き嫌いを「ハラスメント」として訴える風潮のことです。

訴えられた以上は会社としてはコストをかけて調査するしかありません。しかし示された大量の文書や映像、音声履歴をいくら調査しても、適切な指導や議論しか出てこなかった、という話をよく聞きます。結果、調査のための各種コストがムダになったわけです。

チームをモチベートし、メンバーを育成し、目標を達成する使命を負っているリーダーとしては、余計なことに時間をとられる暇はありません。
もちろん、メンバーを信じつつも、すべてのコミュニケーションにおいて、万が一にも足をすくわれることのないよう、むしろ常に録画されているつもりで話をするように心がけましょう。

河野 英太郎 株式会社アイデミー取締役執行役員COO 株式会社Eight Arrows代表取締役 グロービス経営大学院客員准教授

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こうの えいたろう / Eitarou Kouno

1973年岐阜県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学水泳部主将。グロービス経営大学院修了(MBA)。電通、アクセンチュアを経て、2002年から2019年までの間、日本アイ・ビー・エムにてコンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門長、AIソフトウェア営業部長などを歴任。2017年には複業として株式会社Eight Arrowsを創業し、代表取締役に。2019年、AI/DX/GX人材育成最大手の株式会社アイデミーに参画。現在、取締役執行役員COOを務める。
著書に『99%の人がしていないたった1%のコツ』シリーズ、『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』(ディスカヴァー)

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