出川哲朗が「プロフェッショナル」に選ばれた必然 なぜこれほど愛される人気者になりえたのか
前述した通り、「プロフェッショナル」の最後でもノーガードで打たれることで笑いを引き出してもらっていたのです。また、「どちらもこんなのプロフェッショナルじゃない」と、自分と番組演出をオーバーラップさせたコメントは事前に考えていたものではなく、リアルガチで挑んだからこそ舞い降りてきた笑いではないでしょうか。
出川哲朗の言葉が深くなった理由
出川さんは配信中の「神回だけ見せます!」でも、リアルガチの姿勢で笑いだけでなく感動をも誘っていました。ピックアップされた神回は2019年11月22日放送の「アナザースカイ」で、出川さんの旅先は芸人として駆け出しのころに「電波少年」の初ロケで訪れたクロアチアのドゥブロブニク。
「アナザースカイ」はさわやかでスタイリッシュな世界観の番組だけに、出川さんとはミスマッチ感があり、「プロフェッショナル」以上にリアクション芸が使えません。しかし、出川さんが歩くと不思議に人々が寄ってきて次々に笑いが生まれていきました。出川さんは現地の人々を笑顔にしたうえで、「僕は笑わせようが笑われようがもう関係ないんですよ。どっちでも笑ってくれさえすれば何でもいい」と語っていたのです。
実は「電波少年」で訪れた約25年前、当時はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の内戦中で、出川さんはどこへ行っても笑顔が見られませんでした。言わば「笑いのない国」が海外ロケのスタート地点だったことで、「自分がどう思われようがそんなの大したことではなく、笑いのない世界よりよっぽどマシ」という考え方に至ったのでしょう。現在も「月の半分は東京にいない」というほど旅をしているだけに、出川さんはどんな形でもいいから各地に笑いをもたらそうとしているのではないでしょうか。
「笑いのない国」でのロケを経験したことで、笑いのある素晴らしさを知り、それを生み出す仕事の充実感を得た出川さん。昔も今もポンコツキャラとして扱う番組は多いものの、現在の出川さんから人間としての深みも感じてしまうのは、そんな笑いという1本の道のりを歩み続けてきたからでしょう。
番組で出川さんは、「他にも立派な仕事はいっぱいあると思うんですけど、『この仕事をやらしていただいて本当幸せだな』と嘘偽りなくそう思いますね」と語っていました。現在58歳であり、サラリーマンなら定年がチラつきはじめる年齢。みなさんはそのとき、出川さんのように嘘偽りなく「この仕事をやらしていただいて本当に幸せ」と言えるのか。また、そう言えるようになるためにはどうしていけばいいのか。出川さんの笑顔を見ていると考えさせられてしまったのです。
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