多様化する「日本人」のルーツ、今理解すべき現実 コラムニストのサンドラ・ヘフェリン氏に聞く

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Sandra Haefelin(サンドラ・ヘフェリン)/コラムニスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本人の母とドイツ人の父を持ち、20年以上日本に住む。日本人でもありドイツ人でもあるという立場から、ハーフ、多文化共生をテーマに発言や執筆を行う。『ハーフが美人なんて妄想ですから‼』『体育会系』など著書多数。(撮影:尾形文繁)
多様性が高い社会とはどういう社会か。2カ国にアイデンティティーを持つコラムニストは「みんな違ってみんないい社会」「どんな背景を持った人も居心地のいい社会」だと考える。では、どうすれば実現できるのだろう。
ほんとうの多様性についての話をしよう
『ほんとうの多様性についての話をしよう』(サンドラ・ヘフェリン著/旬報社/1760円/208ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──ご自身、「日本人でもありドイツ人でもある」と言われますが、「でも」のところを日本人にきちんと理解してもらえますか。

難しいですね。「二足のわらじ」はわかっても、アイデンティティーは1つという思い込みが日本では強く、ハーフの人はどちらかを選ぶべきだと考えている人が多い気がします。

例えば2011年の東日本大震災のような危機的状況になると、私のような人間は困った立場に追いやられることがあります。津波による原発事故で放射性物質が拡散したとき、米国人やドイツ人など多くの外国人が東京から避難しました。そうなると、私は「日本人として日本にとどまるのか」「ドイツ人としてドイツに戻るのか」といった、踏み絵を迫られるかのような質問をされました。

日本人のルーツはさまざま

──「踏み絵」ですか。そういった二者択一を迫ることは、もちろん多様性ではありませんよね。

この場合の踏み絵とは、「あの人はこういう行為をしたから日本人ではない」「あの人はこれをしたからやっぱり日本人だ」という判断基準のことです。

テニス選手の大坂なおみさんに対しても、日本国籍の彼女の言動で気に入らないことがあると、「彼女は日本人ではない」と批判する日本人は少なくありません。彼女でさえも、日本人からすぐに踏み絵を強要されがちです。

日本でも外国人が増えて、彼らの子どもたちが生まれて、その子どもたちが……と、さまざまなルーツを持った人が増えています。彼らの中には、私のように両親の国籍やアイデンティティーそれぞれを考えて、自分なりの拠り所があります。日本では外国のほうのアイデンティティーだけを見られて、「であれば、英語は話せるよね」「その国の料理や文化を教えて」と言われがち。でも、本人は日本での生活が長くて、「自分は日本人だ」と思っているケースも多いのです。

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