──舞台は北海道、認知症の高齢者たちが住む村、という設定です。
今回はちょっとミステリアスな、ある意味ホラーな、異次元に連れていかれるような物語を書きたい、と思いました。それで、医療の現場で日々接しており、切実な問題と考えている認知症をテーマにしました。スタートは「まったく新しいミステリーを書く」という作家としての意欲でしたが、書いていくうちに、診察室で普段考えていることをぐいぐい、気持ちに任せて盛り込んでいった感じです。
──金銭的な負担感なしでそれぞれ快適な家に住まい、自由に暮らす生活ケア付きの村は、最初「悪くないかも」と思ってしまう。
北海道には以前住んだことがあって、本当に何もないし人もいない、「この先には何があるんだろう」というような場所が結構あるんです。交通の便が悪く外部と遮断しやすい、広大な村の敷地内は豊かな自然を生かしつつ整備されており落ち着いた暮らしを描けるなど、物語上求める条件が重なりました。そこへ39歳の主人公が偶然迷い込み、暮らすことになる。
認知症についてもっと知ってもらいたい
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら