──ハードな授業には米国での留学経験の影響もありますか。
自分の学んできたことを紹介したい気持ちはありました。ただ、学生から高く評価されたのは意外です。毎週6本の英語論文に触れるのは楽じゃない。しかも、データ分析の結果を示す重回帰分析の表が載った、定量研究の実証論文(定量論文)です。同僚の教員は、「そんな授業は成立しない」とも。
ところが、始めてみたら意外にうまくいった。学生は自分の担当する論文を読み込んで授業で発表しますが、立候補者が多く、発表者の枠はすぐ埋まります。イノベーションに関する研究に関心を持つ学生、論文を読めるようになりたい学生は、予想以上に多かった。
経済学者の知見が経営学に影響
──授業のエッセンスをまとめた本書は論文32本が紹介される異色の構成。経営学の本と思いきや、経済学分野の論文も多いですね。
経営学は領域の学問です。経済学、心理学、社会学が同居するようなイメージ。そして今、米国のビジネススクールには、経済学者や心理学者が増えています。なぜかというと、データドリブンの研究のほうが論文を書きやすい、つまり実績を出しやすいからです。教員としても採用されやすい。
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