今や街の日常風景となったインド・ネパール料理店。人気のほかにも、その繁栄ぶりには理由があった。ネパール語の原題は『チーズナン』。おなじみのメニュー名に秘められた過酷な現実。著者は臨床心理士として14年間コックたちの心の問題に寄り添い、昨夏ネパールに帰国した。盟友でもある編著者に話を聞いた。
──コックの在留資格「技能」には10年間の実務経験が求められます。これが結構緩いとか。
ネパールでは個人経営の小さな店が多く、資格申請の書類は代行業者に作ってもらうのが普通です。ビザ申請の面接は書類の確認程度で、実技試験はないため、未熟なコックも増えた。炭火が燃え盛るタンドール窯やカレー鍋で手にやけどを負ったり、換気が悪い厨房での長時間労働で、精神を病んだり、結核にかかった人もいます。
日本人に人気のチーズナンは、焼くのがとりわけ難しいそうです。著者のビゼイさんは「やけどしないか心配で、厨房をのぞいてコックの表情を確かめ、経験者とみてから注文する」と言っていました。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら