ネパール料理店繁栄の陰に来日コック家族の悲痛 『厨房で見る夢』著者・田中雅子氏に聞く

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田中雅子(たなか・まさこ)/1967年生まれ。神戸大学文学部卒業後、INAX(現LIXIL)入社。英イースト・アングリア大学大学院修士課程修了。日本福祉大学大学院国際社会開発研究科で博士号(開発学)取得。ネパール、バングラデシュ、ガーナで、JICA、日本赤十字社、オランダ開発機構などに勤務。共著に『アンダーコロナの移民たち』など。(撮影:ヒダキトモコ)
今や街の日常風景となったインド・ネパール料理店。人気のほかにも、その繁栄ぶりには理由があった。ネパール語の原題は『チーズナン』。おなじみのメニュー名に秘められた過酷な現実。著者は臨床心理士として14年間コックたちの心の問題に寄り添い、昨夏ネパールに帰国した。盟友でもある編著者に話を聞いた。
厨房で見る夢 在日ネパール人コックと家族の悲哀と希望
『厨房で見る夢 在日ネパール人コックと家族の悲哀と希望』(ビゼイ・ゲワリ、田中雅子 監訳・編著/上智大学出版/1650円/192ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──コックの在留資格「技能」には10年間の実務経験が求められます。これが結構緩いとか。

ネパールでは個人経営の小さな店が多く、資格申請の書類は代行業者に作ってもらうのが普通です。ビザ申請の面接は書類の確認程度で、実技試験はないため、未熟なコックも増えた。炭火が燃え盛るタンドール窯やカレー鍋で手にやけどを負ったり、換気が悪い厨房での長時間労働で、精神を病んだり、結核にかかった人もいます。

日本人に人気のチーズナンは、焼くのがとりわけ難しいそうです。著者のビゼイさんは「やけどしないか心配で、厨房をのぞいてコックの表情を確かめ、経験者とみてから注文する」と言っていました。

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