安倍首相の農協改革を過小評価するな 「安倍VS農協」は「痛み分け」ではない

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今後は、各県単位で農協や連合会に競争原理が働くことで、活性化とともに役に立つ農協、儲かる農業者となっていくことを期待する。

農業者の中には、「高く売れるコメは直接販売し、できの悪いものは農協を通して補助金でカバーする」という知恵者もいるくらいだ。そうならないためにも、今回の法改正を踏まえて、どのように改善されるか、未知数の部分も多い。

「改革を断行するリーダー」という称号を手にした首相

法治国家の日本では、法律がすべてだ。今国会で農協法改正が提出されることで決着を見たが、法案にどのように書き込まれるかの詳細は、まだこれからというところもある。ただし、大きい骨格は、変わりようがない。今後は、全中が一般社団法人に移行されるまでの5年間で、組織の存続の意義を見出せるかに注目するが、現時点では八方ふさがりのように見える。

一方、安倍首相にとっては、アベノミクスの柱の一つとして、農業改革は大切だ。だが、その中身よりは、「農協改革を断行するリーダー」という評価がもたらす影響のほうが、はるかに大きい。そして、8年前に終わった第一次安倍内閣時に非協力だった団体をことごとく潰しにかかっているという話も漏れ聞こえる。

だが、それが農協よりも経済界に配慮している要因ともいわれる。いずれにしても、今回は、「妥協」や「痛み分け」といわれるほどの「政治的な落としどころ」は見当たらない。そもそも、今回の農協改革は、安倍首相にとっては、改革の一つにすぎず、「一里塚」程度の認識であろう。

ただ、沖縄の知事選同様、急ぎ過ぎることによる弊害があったため、最終的には多少の妥協はあったようにも感じる。しかも、農協、県全中を組織として残すことで、自民党農村部議員も、票田が確保できた。

「安倍農協改革」は、評価に値するものと考える。だが、農業再生がうまくいくかどうかについては、農協改革だけの問題ではなく、今後の農業における全体戦略も大切になる。それでも、直近の「イスラム国」のテロ対策への評価も加わっているかもしれないが、安倍首相には、内閣支持率アップの判断が下されている。このことを軽んじるべきではないだろう。
 

有馬 晴海 政治評論家

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ありま はるみ

1958年 長崎県佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒業。リクルート社勤務などを経て、国会議員秘書となる。1996年より評論家として独立し、テレビ、新聞、雑誌等での政治評論を中心に講演活動を行う。政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材の経験に基づく、優れた分析力と歯切れのよさには定評がある。ポスト小泉レースで用いられた造語「麻垣康三」の発案者。政策立案能力のある国会議員と意見交換しながら政治問題に取り組む一方で、政治の勉強会「隗始(かいし)塾」を主宰し、国民にわかりやすい政治を実践している。主な著書に「有馬理論」(双葉社)、「日本一早い平成史(1989~2009)」(共著・ゴマブックス)「永田町のNewパワーランキング100」(薫風社)、「政治家の禊(みそぎ)」(近代文芸社)など。

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