西九州新幹線「対面乗換」で解決できない根本問題 円滑、安全な移動目指し武雄温泉駅で模擬訓練

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JR九州が武雄温泉駅で行った西九州新幹線「かもめ」と在来線「リレーかもめ」の乗り換えシミュレーション(記者撮影)
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9月23日の西九州新幹線開業まで2カ月を切った。真新しい列車が頻繁に試運転を繰り返し、駅周辺の整備が急ピッチで進む。6月10日には運行ダイヤも発表された。本番を念頭に置いたシミュレーションにもがぜん力が入る。

西九州新幹線「かもめ」の運行区間は長崎―武雄温泉間。博多とは直通しない。そのため、本州から新幹線で長崎方面に向かう場合は、博多で在来線特急に乗って武雄温泉まで行き、武雄温泉で新幹線に乗り換える。JR九州は新幹線開業に合わせ、新幹線との接続が便利な在来線特急「リレーかもめ」を導入し、速達性を確保する。

列車から列車への移動に伴う負担をできる限り減らすため、JR九州は階段の上り下りが必要ない「対面乗り換え」方式も採用する。武雄温泉駅の新幹線ホームの幅は10mほど。列車が到着すると向かい側で待っている列車に乗り換える。

武雄温泉の乗り換え時間は「3分」

対面乗り換えでは軌間が異なる新幹線のホームに在来線が乗り入れる。その点では、同じJR九州で九州新幹線の鹿児島中央―新八代間が2004年に開業した際、新八代駅で新幹線「つばめ」と在来線特急「リレーつばめ」が対面乗り換えを行っていた。2011年に博多―新八代間の開業により博多―鹿児島中央間が全通し、新八代での対面乗り換えは終了したが、JR九州としては経験済みである。

通勤などで乗り慣れた電車であれば、自分が乗っている車両のドアが開いてから向かい側に停車し、ドアを開けて乗客を待っている電車に乗り込む場合、ダッシュすれば10秒もかからないだろう。では、観光で訪れる初めての駅ではどうか。通勤列車と違い、新幹線や在来線特急列車はドアの数も少ない。座席指定をしている乗客はどの号車に乗ればよいかまごつくかもしれない。

博多―長崎間をできるだけ短時間で結ぶためには対面乗り換えに要する時間は短いに越したことはない。とはいえ、乗客には急がず、安全に移動してもらいたい。その結果、はじき出された乗り換え時間は3分だった。運行ダイヤを見てもほとんどの場合が3分。まれに4〜6分のケースがあるという程度だ。

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