パナソニックが挑む、新"丸ごと"戦略の中身 車載、住宅に次ぐ売上高10兆円への重点分野

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コンビニエンスストアなどで使用される「コールドチェーン」商材。もともとは三洋電機が得意とする事業だった

「できればコールドチェーン以外の製品を伸ばしていきたい」。1月末、群馬のパナソニックの工場で行われた事業説明会で、「コールドチェーン」と呼ばれる業務用冷蔵庫や自動販売機などの製造・販売事業を担当する幹部から出た言葉は意外なものだった。

この日は、業務用冷蔵庫と自動販売機の2つの販売子会社を統合し、新たな販社を4月に設立することを発表。「新会社では、パナソニックのすべてのカンパニー(事業分野)のものを売っていきたい」と、白モノ家電部門であるアプライアンス社(AP社)でコールドチェーンを担当する本間哲朗・上級副社長は抱負を述べた。

サービス業者がターゲット

本間氏はかつて、本社の経営企画グループマネージャーとして、津賀一宏社長が進める現中期経営計画の策定を担った人物。コールドチェーン部門の新販社で、業務用冷蔵庫などだけでなく、照明や監視カメラなども含めたすべてのパナソニック製品の営業を強化するという宣言は、本間氏が関与した会社全体の成長戦略と深くかかわっている。

2018年度売上高10兆円目標を掲げるパナソニック。成長の柱は車載、住宅に加え、「BtoB(法人向け)ソリューション」と呼ぶ事業分野だ。ただ事業の形が見えやすい車載、住宅分野と比べ、法人向けソリューションは多くの事業の集まりで、具体的な戦略が見えづらかった。

そうした中、本間氏はかねて「パナソニックのBtoBは、製造業向けに部品を売るのが中心だったが、これからはサービス業など第3次産業向けのビジネスを伸ばしていく必要がある」と述べており、法人向けソリューションの象徴的な事例として、自身が担当するコールドチェーン事業を挙げていた。

群馬・大泉工場では顧客に合わせた"一品一様"の生産を手掛ける

コールドチェーンはもともと、パナソニックが買収した三洋電機が手掛けていた事業。拠点の群馬・大泉工場は約88万平方メートルの広大な敷地に他事業も含め約5000人が働いており、顧客の仕様に合わせた受注生産を実施している。

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