インフレ懸念・引き締め圧力後退との認識は尚早 弱気相場はほぼ常に景気後退のさなかで底を打つ

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利上げ懸念の緩和で株式相場は上昇しているが、ゴールドマン・サックス・グループの世界株式担当チーフストラテジストは、米金融当局にかかる政策引き締め圧力が後退すると見込むのはまだ早過ぎるとの認識を示した。

ピーター・オッペンハイマー氏はブルームバーグテレビジョンで、年初来の株価下落はマイナス成長に陥るとの投資家の予想を反映しているが、「深刻なリセッション(景気後退)が織り込まれているとは思わない」と指摘。「リスク資産の底入れが確認できる前に」金融環境の引き締めが必要になるだろうと語った。

この発言は、最近の株価上昇が崩れやすい根拠の基に成り立っている可能性があることを想起させる。米S&P500種株価指数は6月安値(終値ベース)からの上昇率が今月15日時点で5%を超え、ストックス欧州600指数は18日も上昇し、今月初めに付けた安値からの反発を続けている。

政策担当者はいっそうの大幅利上げに反対し、直近のデータでは米消費者の長期インフレ期待が一段と低下したことが明らかになった。それでもオッペンハイマー氏は、総合インフレ率が低下を始めるとしても急低下が続くと考えるのは時期尚早だと指摘した。

「インフレ率が急低下する、あるいは米国やその他の中央銀行への圧力が緩和したと考えるには早過ぎる。インフレ率はピークを付け、下がり始めたかもしれないが、大半の人々にとっての現実は、価格は依然上昇を続けている」と述べた。

ただ、オッペンハイマー氏は向こう1年間の株式相場については比較的強気だ。「弱気相場はほぼ常に、リセッションのさなかで経済指標も悪く、企業業績の下方修正が依然続いているときに底を付けることを覚えておく必要がある」とし、株式が本格的に反転する場合には景気循環株とテクノロジー銘柄が反発を主導する公算が大きいと予想した。

原題:

Goldman’s Oppenheimer Says Premature to Dismiss Inflation Fears(抜粋)

(見出しの名称をゴールドマンと正しく表記して訂正します)

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著者:Sagarika Jaisinghani、Allegra Catelli

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