鉄道技術の外販で稼ぐ、JR西日本の新市場開拓 簡易型情報端末や自動改札機向けAIで実績
実際、神戸支社管内300台の自動改札機にAIを導入したところ、年間で約30%故障件数が減ったという。この技術はJR九州に持ち込まれ試験導入が実施された。試験導入後の感触は「とてもよい感想をいただいた」とのことで、JRの垣根を越えた展開も期待できそうだ。
鉄道のみならず他業界にも売り込みを続ける。「鉄道から生まれた技術ですが、鉄道業界だけに固執することなく、あらゆる業界に応用のできる技術だと考えています」。と、JR西日本イノベーション本部オープンイノベーション室の井上正文課長が話す。日本中の企業を訪問し、「ほとんど家に帰っていません」と苦笑する。
多くの企業に知ってもらえるよう、鉄道事業者が出展したことがないような、IT、IoT業界の展示会にも積極的に出展する。ITやIoT業界にとって、JR西日本は“お客様”の立場だった。しかし、自らも技術を売るのであれば、“対等の関係”でなければならない。その意気込みで臨んだところ、逆にITやIoT企業からの問い合わせもあったという。
監視カメラ技術に期待大
自動改札機だけでなく駅構内の監視カメラにもAI技術が活用されている。映像を分析し、ホーム上でのふらつきや倒れている人を検知し、駅員に知らせるシステムである。この監視カメラの映像解析技術はすでに他社との協業実績もあり、路線バスや工場の検品作業などへの展開を目指している。
「オープンイノベーションを活用し、鉄道固有の技術に固執しない」と井上氏は話す。「これまでありがちだった、鉄道には活用できないから向き合わないというマインドをいったんなしにして、小さな課題でもいいし、失敗してもいいからとにかくやってみることを念頭に事業を進めている。外からの取り入れだけでなく、こちらからのアウトバウンドをしっかりと意識したい」。
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