原油価格上昇は長期的な成長阻害要因、FRBは当面、高失業率を重視《アフリカ・中東政情不安の影響/専門家に聞く》

トーマス・ギャラハー  スコウクロフト・グループ プリンシパル

--中東情勢は安定に向かうか、しばらく混乱が続くか。

しばらくは混迷が増すと見ている。予測は困難だ。エジプトにしても、これを革命と呼ぶのか、軍事クーデターと呼ぶのか。今後6~12カ月でできる政府はどのようなものか。選挙はやるだろうが、誰が参加するのか。中東が今後どこに落ち着くのか、自信を持って言える状況ではない。
 
 おそらく現政権よりもはるかに国民の人気を反映した政府になるだろう。そして、新政権は米国に対する友好度が幾分低下するだろう。その程度はわからない。

多くの人が、今回の中東での事件を1989年のベルリンの壁崩壊と比較している。共通点は多いが、同時に重要な相違点がある。西側諸国からの引き寄せる力が、東欧においては大きな要素だった。しかし、今回の中東・北アフリカではそれは主要な要素ではない。民主化への動きが、必ずしも民主的政府の成立となって終わるわけでもない。

■オバマ政権は慎重に対応だが、影響力は小さい。反米色強まる可能性

--ワシントンは今回の混乱を予想していたのだろうか。

理論上は十分予想できる事態ではあるが、実際起きてみると驚いてしまうといった種類の出来事と言える。エジプトがあと何十年も独裁政権を維持できるとは誰も思っていなかった。ムバラク政権の基盤が脆弱なことはわかっていた。しかし、こうした事態は急激に襲ってくるもので、常に驚異的である。これが政治的な変化や革命の性質といえる。

--これまでの政変は独裁政権の国だが、これがサウジを筆頭とした君主国へ波及するのだろうか。

それは、原油価格を通じた経済や金融市場との関係の深さを考えても極めて重大な問題だ。基本シナリオとしては、サウジには混乱は波及しないと見ている。エジプトのような国民の経済的不満はサウジには見られない。これまでも原油収入を使って、国民の不満を最小化することもできた。

しかし一方、現在はインターネットやアルジャジーラのようなテレビなど先進的なメディアが存在しており、膨大な通信を可能にしており、これが混乱波及の原因となる可能性もある。

--リビアは現在、極度の混迷に達している。アラブ諸国では政治的な影響力はないにしても、石油がある。

リビアはエジプトやチュニジアよりはるかに原油生産が多く、マーケットもリビア混迷で影響を受けている。

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