発売19分で完売!進化する「鉄旅」の驚愕 マニアだけが楽しむ「鉄道の旅」は過去の話

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大井車両基地内の「ドクターイエロー」

準グランプリを獲得したのは、東海道新幹線の車両基地で「ドクターイエロー」の車内見学をしたり、夜間の保守作業を昼間に見学したりする「親子で行く修学旅行 発見!東海道新幹線のお仕事」。レアな体験ができるとあって、販売開始から19分で完売してしまったという。

催行されたのは、小中学校の夏休み期間中である8月。もともと大井車両基地は一般者の見学を想定していないだけに、暑さ対策としてクーラーや送風機を設置したり、子供たちに塩アメを配ったりと、現場の苦労は相当なものだったようだ。

東海道新幹線50周年ということで特別に企画されたツアーではあるが、「レギュラー化してほしい」という声が多く寄せられているという。審査員の間からも「“大人の修学旅行”として、大人だけでも参加できるように再発売してほしい」といった声も上がった。

次回について、主催者のジェイアール東海ツアーズの担当者は「ハードルは高い」としながらも、「実績を積み上げて、今後につなげたい」と意欲的な答えが返ってきた。

グランプリは"超豪華ツアー"

そして、グランプリを受賞したのは「大地と海をめぐる豊穣の九州」。JR九州の豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」と、日本最大の豪華客船「飛鳥Ⅱ」の両方に乗れるという、何とも豪華なツアーだ。

週刊東洋経済増刊『鉄道完全解明 2015』は、中央リニア新幹線の最新動向、北陸新幹線の開業、豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス」の運行終了など、経済・ビジネスの観点からも世間の関心を集める話題を掲載しています。

予約が殺到するななつ星と、海外を航海していることが多い飛鳥Ⅱ。この2つをまとめて旅行商品として設定する作業は非常に難航し、「2年がかりでようやく成し遂げた」(企画したクラブツーリズムの担当者)。1人当たりの旅行代金が85万~130万円という高価格ながら、定員28人に対して400人が応募するという人気ぶり。企画力の高さが評価されたようだ。

これら3つの旅行商品に共通するのは、個人では実現が困難ということ。旅行会社でないと実現できない。その点において、旅行会社が主催する鉄道旅行の存在意義は大きい。

また、これらの旅行商品はマニアックな車両やルートを楽しむというより、普通の人でも参加してみたいと思わせるような内容だ。これこそ、鉄旅が広く一般化しつつある証左といえるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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