キャリアの「長期目標」を立てる意味はあるのか 変化に応じて生きるサバイバル能力が大切だ

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変な話ですが、「自分の持っている可能性の限界を見てみたい」でもいいですし、もっと単純に「お金持ちになりたい」でもいいのです。

少なくとも、真面目に設定したゴールであれば、じゃあ「自分の可能性ってなんだっけ?」イコール、「自分とは、という問い」とか、「どのくらいの年収を目指したいのか。それを実現できる職業は何か?」とか、現状の自分の立ち位置と比較していろいろと考えますから、行動にはつながるはずです。

そしてそういった漠然としたゴールやイメージに向かって、短期的な手段は環境等に応じて変えつつ着実に進んでいく。

そういったやり方のほうが、現時点においてはむしろしっくりとくるような気がします。

要は自分の時間とエネルギーをより効率的に使えればいいのですから、そのためにも冒頭で申し上げたような、自分なりの軸を早く持つべきなのです。

そういった自分なりの軸があれば、流行につられて不要な転職などをする必要もなくなりますし、ましてや行動にあたって迷いが生じる機会も減ってくるはずです。

無理にゴールを探さなくてもいい

世の中において不確実性が増せば増すほど、「これが正解だ」みたいなことを言うヒトが増えますから、いちいちそういった話に惑わされていると、先ほど申し上げた通りに、いつまでもフラフラと労働市場を彷徨ってしまい、「結局どこにもたどり着けないし、何者にもなれなかった」なんてことになりかねません。

TMさんは「長いゴールがない」とされてますが、恐らく仕事や職業という視点のみでの長期ゴール、ということを無理に探そうとしているからだと思われます。

しかしながら、職業人を取り巻く環境の不透明感や不確実性が非常に高い現状、しっくりと腹落ちする具体的な長期ゴールなんて持てなくて当然ですし、無理に持つ必要はありません。

それよりも、冒頭に申し上げたように、もっと大切な人生観やご自身の軸の探求を目指してみてください。

どんな生き方をしたいか。

これがないと、そもそも論として「どんなキャリア観を持つべきか」なんて本来は考えられないはずです。

そこを飛ばしてしまい、仕事だけを独立して考えてしまうから、余計に複雑になってしまうのです。

そのような考え方で、TMさんがご自身にとっての人生における正解、そしてそこから派生した仕事上で持つべきゴールを持ち、一歩一歩成長されるであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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