ITエンジニアと意思疎通できない経営感覚のズレ 貴重な戦力の離職を招く間違いのポイント

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反対にリリース前フェーズにITエンジニアがリファクタリングに夢中になるケースがあります。その結果、リリース前に時間切れとなって資金ショートしたサービスを見たことがあります。開発費用だけが消えていきました。

開発の話になってしまいますが、「0-1」フェーズを作り込んでいったら途中で「ここはああすべきだった」「ここはもっとよくできそうだ」というのはいったんメモをしておき、重大なセキュリティリスク以外はリリースして落ち着いてから別途対応すべきです。自分自身のソースコードもインフラも、よかれと思った技術選定も、多くの場合は半年もすれば誰かの技術的負債になるのです。

経営層としては、技術的負債があることを認識したうえで、技術的負債の解消をITエンジニアに意味付けし、建設的な解消を求める姿勢が重要です。

売り上げを上げることを最優先した結果、技術的負債の解消が後回しになり、セキュリティインシデントに繫がったり、実装に時間がかかり続けたりすることは多くあります。技術的負債の解消を、新規施策と同様に「投資」と位置付ける意思決定もまた必要です。

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往年の個人業務委託は自社の評価制度・給与制度に見合わないほどの高度人材を対象として契約されていました。しかしフリーランスという働き方が一般化するとともに、2012年のソーシャルバブル以降、メンバークラスの個人業務委託がフリーランスとして増えています。

現在の都内フリーランス市場では、80万円/月くらいで実装が任せられる人材、100万円/月で設計もできる人、リーダー・マネージャークラスで120万円/月くらいが相場観です。

ITエンジニアは採用コストや年収レンジが上がっているだけでなく、未経験などであれば一人前の戦力にするために教育コストを支払わなければなりません。採用しても、すぐに辞めてしまいフリーランスになってしまう人が増えているため、コスト回収ができない企業が出てきています。

経営層としてはこうした状況を踏まえ、ITエンジニアを雇用することに対する意味付けや、正社員と業務委託を適切に配置した開発組織設計をしなければなりません。

久松 剛 エンジニアリングマネージメント社長

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ひさまつ つよし / Tsuyoshi Hisamatsu

慶應義塾大学大学院政策メディア研究科博士。2000年より慶應義塾大学村井純教授に師事。合同会社エンジニアリングマネージメント社長。ベンチャー企業3社にてエンジニアや中間管理職を歴任後、独立。ベンチャーや老舗製造業など複数社でのITエンジニア採用、研修、評価給与制度作成、ブランディングなどの組織改善コンサル、研修、セミナーを担当。株式会社overflow Offersデジタル人材総研所長、株式会社サポーターズ エバンジェリスト、株式会社アカリク顧問、STARMINE株式会社顧問を兼務。ITエンジニアの採用や活躍、キャリアに関する情報発信としてレバテックラボ連載、SESPlusにてインターネットラジオ出演を行っている。

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