「ノンアル飲料」をあえて選ぶ20~30代の飲酒観 「家飲み」隆盛でアルコールよりノンアルが伸長

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ここでは、2人以上の家族で自宅での調理機会が一定程度ある主家事担当女性を対象とする、インテージ食卓調査「キッチンダイアリー」を用いた。図表4は、夕食でノンアルを飲む際に、どういったアルコール飲料が飲まれるのかを年代ごとに出現率ランキングで比較したものだ(期間は2022年1~5月計)。

出現率とは、同じ食卓に並んだ割合のことをいう。

年代によってランキング上位の顔ぶれが異なっており、嗜好性の違いがうかがえて興味深い。また、20~30代の出現率では、1位の「発泡酒・新ジャンル」が53.7%、2位の「ワイン」が46.1%、3位の「チューハイ」が36.7%と、他の年代よりも突出して高い。20~30代では、ノンアルを飲む際、他のお酒も一緒に飲むことが圧倒的に多いようだ。

この出現率からは、

・同じ人が1杯目にお酒を飲んだが、途中からノンアルを飲む

・お酒を飲む人と、ノンアルを飲む人がいる

の主に2通りの場合が考えられる。

前者は、飲み過ぎないようにとノンアルに切り替える場合と捉えることができる。後者は、相手に合わせて晩酌には付き合うものの、自身はノンアルを選ぶ場合と言えるだろう。

ノンアルを選ぶ20~30代の価値観

どちらの場合も、20~30代の若者ならではの価値観が表れているのではないだろうか。

若者のアルコール離れが言われるようになって久しい。飲み過ぎることへの健康への懸念だけではなく、酔わずに自分の時間を有効活用したいという意識もあるようだ。そうした若者があまり酔いたくないと、途中から、もしくは、最初からノンアルを選ぶことが少なくないと見て取れる。

また、「とりあえずビール」といった文化もなくなってきたと言われている。自身で飲みたいものを飲むという選択を大切にしたいという風潮は若者で特に強いとも聞く。一緒に晩酌はするが、それぞれがノンアルでもお酒でも好きなものを飲もうというトレンドによって、ノンアルとアルコール飲料の両方を食卓で楽しむことも増えているようだ。

今回は、コロナ禍で加速したノンアルブームの実態について見てきた。足元では、2022年3月にまん延防止等重点措置が全国で解除されたことで、外食に出ることも増えるなど、行動には変化が見られる。

そうした中でも、ノンアルの人気は続いていくのだろうか。あるいは、新たなブームが生まれていくのだろうか。これからの消費トレンドの変化が楽しみである。

木地 利光 市場アナリスト

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きじ としみつ / Toshimitsu Kiji

市場調査会社インテージの市場アナリスト。食品、飲料、雑貨など各種消費財のデータを分析し、新聞・雑誌・TVなど各種メディアに対して、取材対応や情報提供を実施。メディア掲載は、年間100件を超える。

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