世界の英語は「母語なまり」、堂々と話すのが一番 世界の95%の人にとって、英語は母語ではない

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かつての大学受験のバイブル「でる単」と「でる熟」片手に、赤門学(あかもんがく)がニューヨークにやってくる。タクシードライバーにいきなり、Where to? (どこ、へ?) と主語も動詞もない英語で聞かれ、「ひどい英語ですね」とあきれる。

これは、私が原作と英語監修を担当した英語漫画『奥さまはニューヨーカー』の1シーンで、まさに私自身がニューヨークで体験したこと。ドライバーの多くは、母語なまりの強い移民だ。

英語は、世界でもっとも広く通用し、どの言語よりも多くの人に話されている。公用語人口は、世界の言葉で英語が一番多い。英語が国際共通語として使われるようになったのは、20世紀に入ってからだ。

それまでは、フランス語がその役割を果たしていた。イギリスやアメリカが経済大国として、世界を支配するようになったことが大きい。では、英語を母語とする人の割合は、どのくらいだろうか。

なんと、世界の全人口5%ほどしかいない。世界の95%の人にとって、英語は母語ではないということだ。ちなみに、母語者の割合が世界で最も高いのは、中国語(12%)だ(Ethnologue 〈2022,25th edition〉より)。

これは日本で目にした光景だが、ぜひ紹介したい。

東京駅の構内で、観光客らしき白人の中年男性が日本人の男性駅員に、次のように英語で質問しているところに出くわした。

Where can I take the subway?
地下鉄はどこで乗れますか。

もし、うまく意思疎通ができなかったら、力になりたいと思い、すぐそばで見守っていた。

駅員は日本語なまりの強い英語で、大きな声で堂々と答えた。

「ダウン、ダウン、ツー・ダウン!」

OK. Thank you.

男性はお礼を言い、立ち去った。

なんとわかりやすい表現なのだろう。

私が駅員に近づき、「英語、上手ですね」と声をかけた。駅員は驚いたように私を見て、笑顔で制帽をかぶった頭をさげた。

ごくわずかの母語話者のために英語を話してあげている私たち日本人が、うまく話せないと恥ずかしがったり、卑下したりする必要はない。

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