ロシアと対決姿勢を鮮明したNATOに忍び寄る不安 ウクライナ侵攻の長期化で加盟国に温度差

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ドイツ連邦統計局が発表した、ドイツの6月のEU基準(HICP)の消費者物価指数(CPI)上昇率は8.2%。5月の8.7%より多少下がったが、ウクライナ侵攻以降、消費者物価は上昇を続けている。

エネルギー価格も大幅に上昇し、高インフレ率に大きな影響を与えており、2022年6月のエネルギー価格は前年比38.0%上昇し、前月と同程度上昇している。食料品の価格も平均を上回り(12.7%上昇)、経済に暗雲が垂れ込めている。連邦政府は燃料割引などさまざまな対策を打つことでなんとか経済を下支えしている状態だ

ロシアに天然ガスを大きく依存してきたドイツは今、年内の原発ゼロ政策にこだわり、天然ガス不足を補う石炭火力発電を復活させる政策を打ち出している。ただ、国民の間で十分理解が得られているとはいえず、引き続き政権不信は続いている。

フランス、イギリスでも物価が急上昇

一方、フランス国立統計経済研究所(INSEE)は、6月末に発表された暫定的な予測で、フランスの消費者物価は5月の前年同月比5.2%の上昇から、6月には5.8%(暫定数値)に上昇するとしている。

インフレの主要因は、エネルギーと食料の価格上昇の加速によるものだ。EU基準CPIは5月と同様、6月も前月比0.7%上昇し、6.5%に上昇することが見込まれている。

イギリスのインフレ率は5月も40年ぶりの高水準だった。燃料や電気、食品・飲料などが軒並み値上がり、英政府統計局(ONS)が6月22日発表した5月のCPIは前年同月比9.1%上昇。1982年以来の高水準だった4月(9%上昇)をさらに上回った。イギリスではブレグジット後の苦戦が続いており、ウクライナ危機はそれに追い打ちをかけている。ブレグジットを後悔する声も聞かれる。

ヨーロッパ内ではロシアがウクライナから出荷を阻止していることによる価格高騰が続いており、スーパーのパスタ価格が高騰し、イタリアでは品不足に陥っている。これらの状況がヨーロッパ市民の生活に与える影響は大きく、戦争の長期化はさらに苦痛を与える可能性があることから、早期解決を望むヨーロッパ市民は確実に増えている。

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