日経平均、「モグラ叩きゲーム」終了へ 再び1万8000円突破が見えてきた

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三つ目のモグラは、国内長期金利の上振れだ。3日(火)に行なわれた10年国債の入札が不調であった(=需要が少なかった)ため、10年国債利回りは前日2日(月)の0.285%から入札日は0.355%に上昇(価格は下落)し、その後も一時は0.40%に迫る動きを見せた。

筆者は、日銀は追加緩和をしないだろう、と考えているが、それと同様の見解が、金融機関に広がっていると推察される。ドル円相場についても、好調な米雇用統計を受けても119円前後までの米ドル高円安が進んだに過ぎず、米ドルの上値は重い。これも、「追加緩和なし」という意見が、為替市場で優勢になりつつあるからではないだろうか。

ただ、長期金利が上がったとはいえ、0.5%にも達していない。米ドル円の頭が重いと言っても、「円高になった」などと騒ぐようなものではない。むしろ、一時120円を超えていた時に、円安のデメリットが生じる、などとカラ騒ぎしていたではないか。長期金利も円相場も、静観していればよいような動きに過ぎず、日銀に向かって「追加緩和乞い」のお祈りをささげ、手を合わせる向きがいるのは、滑稽だ。

モグラは出そうだが、日経平均は1万8000円台奪回も

このように、先週までの不安モグラは、いったん姿を潜めたようだが今後も思わぬ穴から、ぽこぽことモグラが顔を出す局面はあるだろう。

ただ、小さなことを大きく騒がないよう戒める言葉として、英語のことわざに「モグラ塚から山を作るな」というものがある。今後は、徐々に不安材料は後退し、株式市場の眼は実態面、たとえば足元の企業決算などに移るのではないだろうか。

幸いにして、内外需要の緩やかな持ち直しや円安効果などから、日本企業の10~12月期の決算は概して堅調だ。為替先物予約などにより、円安と原油安の効果は、足元はまだ十分ではないが、1~3月期に一段と収益に寄与するだろう。

日経平均株価は業績相場的な色合いを徐々に強めながら、上値をうかがうと予想する。今週の日経平均の予想レンジは、1万7600~1万8200円と、1万8000円台再奪回の可能性を見込む。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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