和田秀樹さんが説く「いい医者」を見分けるコツ 70代からの人生を元気に楽しく過ごすには?

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――高齢になると血圧や血糖値の数値が気になり、薬を飲む人も多いですよね。

実際、多いですね。医療が高度化したことによって、検査データを重要視するようになり、数値に異常があれば、正常に戻すためにすぐに薬を出すようになりました。

治療のために薬を出すというより、“数値を下げる”ためだけに薬を出す医者が多いのです。

さらに今の医療は専門分化が進んでいます。身体のあちこちが具合悪い人は、例えば「循環器内科」「消化器内科」「泌尿器科」というように、それぞれの科の医者から薬をもらうようになって、10個も15個も薬を飲むようになります。いわば薬漬けの状態です。

それでは、かえって具合が悪くなりかねません。実際、血圧や血糖値を下げる薬によって、低血圧や低血糖を引き起こし、頭がボーっとしたり、足元がフラフラしたりすることもあります。

僕は1985年に医学部を出ましたが、その頃の診察ではまだ聴診器を当てたり、触診をしたり、目の前の患者さんの状態や顔色を見ながら診断していきました。でも、今はそういった当たり前のことが少なくなって、数値ばかり重要視していくようになった。それでは体調不良の真の原因が見えなくなります。

僕は数値が正常化どうかよりも、本人が元気かどうかのほうがよっぽど大事だと思うんですね。

高齢者が元気になる、良い医者の見分け方

――先生から見て、良い医者の見分け方というのはありますか。

基本的に医者というのは病気を治すプロであって、人を元気にさせるプロではないんですね。

「あなた、この数値が高いから危険です。薬を飲みましょう」という医者が多いけど、それを言われて元気になりますかって話です。

薬を飲んでも一向に具合が良くならない時に、しっかりと耳を傾けて原因を探ってくれたり、今飲んでいる薬を変えてくれたりと、根本原因に目を向けてくれる医者は信頼できるんじゃないでしょうか。

その医者の人となりや雰囲気というのも重要で、「この先生のところに行くとなんだか元気をもらえる」みたいな人がいいですよね。

和田秀樹/1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって、高齢者医療の現場に携わっている。主な著書に『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』(マガジンハウス新書)などがある(撮影:今 祥雄)

――著書『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』の中にあった、「高齢になってくると男性ホルモンの影響によって、女性のほうが男性よりも元気になる」というお話も、興味深く感じました。

男性ホルモン(テストステロン)は、いわゆる男らしさをつくるホルモンなのですが、社交性や攻撃性といった外に向かう力を生み出すホルモンなんですね。その男性ホルモンが、男性は中年期以降、減少し、逆に女性は高まっていくということがわかってきました。

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