「底辺の仕事ランキング」批判集めた6つの問題点 “誰でもできる"の罪深さ、差別で片づけられず

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同記事は、「①土木・建設作業員」「②警備スタッフ」「③工場作業員」「④倉庫作業員」「⑤コンビニ店員」「⑥清掃スタッフ」「⑦トラック運転手」「⑧ゴミ収集スタッフ」「⑨飲食店スタッフ」「⑩介護士」「⑪保育士」「⑫コールセンタースタッフ」と12の職業をピップアップ。

それらの特徴として「肉体労働」「誰にでもできる仕事」「同じことの繰り返しであることが多い」、デメリットとして「年収が低い」「結婚のときに苦労する」「体力を消耗する」を挙げたほか、「底辺職に就かない方法/抜け出す方法4つ」などの項目もありました。

「底辺」というフレーズは必要か

最初の問題点は、なぜ“底辺”という過激なフレーズを使わなければいけなかったのか。

その理由は「誰かをおとしめたい」という悪意というより、「多くの人々から注目を集めるため」でしょう。“ランキング”というウェブでページビューを集めやすい形式の記事であることからも、運営側の思惑が透けて見えます。

しかし、この記事を見る人々にしてみれば、「自社コンテンツへの注目を集めるためなら、多くの人々を傷つけてもいい」という悪意としか思えないものでした。運営サイドは「これくらいなら大丈夫だろう」というビジネス的な判断にすぎなかったものが、「まさかここまで悪意としてとらえられるとは……」と戸惑っているのではないでしょうか。

もし「底辺」というフレーズをどうしても使いたかったのであれば、同サイトが決めつけたものではなく、当事者が「底辺と感じている」というアンケート結果をベースにした記事であれば問題はなかったでしょう。

2つ目の問題点は、具体的な12もの職業を名指ししたうえで、「就かない方法/抜け出す方法」を挙げたこと。たとえば、特徴やデメリットだけを挙げて「底辺」と定義しただけにとどめる。あるいは「就かない方法/抜け出す方法」を挙げたとしても、12の職業を名指ししなければ、今回ほどの騒ぎにはならなかったでしょう。

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