粉飾倒産がコロナ禍を脱する今から増えてくる訳 倒産件数も休廃業も政策的に抑え込まれた反動で
倒産とは「会社の死」ではない
粉飾の誘惑に駆られる経営者は今、かつてなく多いのではないかと考えられます。
その理由を説明する前に、本稿のテーマである「倒産」について、簡単にご説明したいと思います。よくご存じの方も多いと思いますが、確認までに整理しておきます。
倒産という言葉を聞いて、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか?
夜逃げして一家離散といった、悲惨なイメージを持つ方もいるかもしれませんが、そこまでになるケースは、昔に比べると、かなり減りました。
そもそも倒産は、「会社の死」を意味するものではありません。
倒産は法律用語ではなく、明確な定義はありませんが、基本的には「債務を弁済できなくなる」ことです。会社の経営が苦しくなって、払うべきものを払えなくなった(=債務を弁済できなくなった)とき、2つの選択肢があります。
1つは、事業を停止して、会社を消滅させること。これを「清算型」の倒産といい、 ある意味、「会社は死ぬ」ことになります。
もう1つは、事業を継続しながら、なんとか債務の弁済を続けること。これを「再建型」の倒産と呼びます。この場合、「会社が死ぬ」わけではありませんが、大抵の場合、倒産した会社にお金を貸している銀行や、売ったものの代金を回収できていない取引先など、債権者が少なからぬ損失を被ります。
例えば、前回(マザウェイズはなぜ破産したか?創業社長の独白/6月30日配信)、前々回(「マザウェイズ」絶好調に見えたのに破産した理由/6月23日配信)とご紹介した、人気子供服チェーンのマザウェイズの倒産は「破産」でした。その結果、マザウェイズという会社は現在、存在せず、ブランドも残っていません。
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