粉飾倒産がコロナ禍を脱する今から増えてくる訳 倒産件数も休廃業も政策的に抑え込まれた反動で

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コロナ禍が正常化に向かう過程で、今までは覆い隠されていた企業経営の問題点があらわになるということです。そのときに決算を粉飾して、銀行から融資を引き出し、会社を延命したいと思う経営者もいるでしょう。粉飾の誘惑に駆られる経営者がこれから増えるのではないかと私たちが考えるのは、こんな理由からです。

粉飾に手を染めるのは、業績不振の企業ばかりではありません。急成長中のベンチャーが、投資家からのプレッシャーに耐えかねて一線を越えるケースも多くあります。

今年(2022年)2月、マニュアル制作のグレイステクノロジーが上場廃止になった事件を、覚えていらっしゃるでしょうか。滝川クリステルさんを起用したテレビCMを流していた会社です。そんな名の知れたベンチャー企業で粉飾決算が発覚したとあって話題になりました。

なぜグレイステクノロジーは粉飾したのか?

グレイステクノロジーが設置した特別調査委員会がまとめた報告書には、粉飾に至る経緯が詳細に記されています。

創業者のA氏は、機関投資家との面談を積極的に数多くこなしていましたが、その場で成長率の見通しを尋ねられると、「前期比20〜30%」と答えていたそうです。そう答えていた理由を、経営企画室長のE氏は「機関投資家に10%や15%と伝えると、『その程度の成長率か』と思われてそっぽを向かれてしまう」という認識が、創業者と自分にあったからだと明かしています。

驚くべきことに、中小企業の粉飾決算では、融資先の金融機関が重要な役割を果たしていることがあります。「被害者」の役割ではありません。「粉飾を後押しする」という役割です。

現場を目撃した関係者は、こう話していました。

「クライアントの経営者に付き添って銀行を訪問すると、時折、営業担当者が粉飾するようにほのめかす場面に出くわす」

具体的には、融資先が提出した決算書を見て、「もっと利益が出ているのではないですか」といった言葉で、粉飾を促すそうです。

なぜ、こんなことが起きるのでしょうか。

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