高校中退も「年収3000万円」になった彼女の本音 水商売で成功するも「学歴は大事」と訴える理由

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
拡大
縮小

「当時、年頃だった私は、コスメやかわいい服、美容室にも行きたい……と、欲しい物がたくさんありました。でも、家は貧乏やったので、子供ながらに『欲しい物を親にねだる』ことができなかったんですね。

でも、高校生になり、友人に誘われる形でアルバイトを始めると、お金を稼げる楽しさに魅了されていきました。当時の日本はまだバブル好景気の最中で、とにかく仕事に溢れていて。今みたいに履歴書が必要やったり、年齢を厳しく調べられることもなくて、『じゃあ今日から働いて』と、高校生でも仕事ができる、おおらかな時代やったんです。

当時は18、19歳くらいの子が、喜平のネックレスやクラッチバッグを持って、ベンツとかに乗っていました。そういうのを見て、かっこいいなと憧れていたわけです」

姫野さんが最初にしたアルバイトは、商業施設内でソフトクリームやお好み焼きを販売する売店の仕事だった。しかし、自分で稼いだお金で欲しい物が買える喜びや、働く楽しさを知っていくうちに、より高い時給を求めるようになり、やがて、24時間営業の喫茶店での仕事を見つける。

「夜働くと、めちゃくちゃ給料がいいことを知ったんですね。高校生が夜中に働くことも、今のように咎められない時代でもありました」

もともと、勉強が好きなほうではなかった姫野さんは、次第に学校へ行くより働くほうが楽しいとも感じはじめ、2年生に進級する前に高校中退を決意。この時すでに母親は他界していたほか、父親も教育には無関心だったが、姫野さんの高校中退を「全力で反対してくれた」というのが、9歳年上の姉だったという。

「将来を心配した姉から、美容学校への進学を勧められて、行くことにしたんです。でも、もともと肌が弱くて、パーマ液やカラー剤、毎日のシャンプー練習などで皮膚が酷く荒れてしまって……」

結果、この美容学校も半年ほどで辞めざるを得ない状況に。フリーターとなった姫野さんは、より給料の良い夜の仕事、いわゆる「水商売」の世界へと足を踏み入れていく。

バブル崩壊後も元気だった夜の世界へ

美容学校を中退した頃、姫野さんはまだ16~17歳という年齢。現在では考えられないことだが、バブル好景気の浮かれた空気を引きずった当時の日本では、姫野さんが未成年であると知りながらも、多くの店から“スカウト”があったという。

「狭い地域なので、すぐスカウトされるわけです。『その店辞めてこっちに来ない?』と。その度に給料が上がりました。18歳未満であるとわかっていても、何かを書かされるわけでもなく、給料も手渡しでしたし」

次ページ10代後半から「クラブ」での下積み生活
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT