ソニー、決算で見えた"脱エレキ"への道筋 通期営業益は一転黒字へ、株価も急騰
ソニーは2月4日、2014年度第3四半期(4~12月期)の業績説明会を実施した。映画事業へのサイバー攻撃の影響で財務システムなどが現在使えないため、あくまで不確定値としながらも、第3四半期の実績見通しと通期見通しを公表した。
第3四半期見通しは、売上高6兆2692億円(前年同期比6%増)、営業利益1625億円(同17%増)と増益で着地。今期末にかけて採算改善に向けた本社や販売会社の構造改革費用がかさむ予定だが、それを含めても通期見通しは売上高8兆円(前期比3%増)、営業利益200億円(同25%減)。従来400億円の営業赤字計画から一転、黒字計画となる。なお純損益は1700億円の赤字(従来計画は2300億円の赤字)を見込む。
この業績見通しを受けて5日には、株価が急騰。一時、前日比500円高の3269円まで上がり、ストップ高となった。結局、この日は前日比332円高の3101円と、2011年3月の東日本大震災以来、初めて3000円台を回復した。
スマホは相変わらず苦戦
営業黒字浮上となる要因を事業別に見ると、大きいのはイメージセンサーを中心とするデバイス事業の伸長だ。もともと今通期670億円の営業利益(前期は124億円の赤字)を見込んでいたが、それを1000億円にまで上方修正。スマホ向けのイメージセンサーが好調なことに加え、為替の円安も追い風となった。
また米国での「プレイステーション4」が堅調なゲーム事業も、通期の営業利益見通しを400億円と従来予想から50億円上方修正。保険料収入の増加や運用損益の改善でソニー生命の収入が伸びた金融事業も、営業利益の通期見通しを140億円上方修正した。
しかし、課題のスマートフォン事業は通期2040億円の営業赤字見通しを2150億円に広げるなど低迷が続く。特に足元では東南アジアで苦戦している。
今回の業績説明会では、そのスマホ事業の2017年度の数値目標も開示。2014年11月、スマホ以外の事業はすでに2017年度目標を公表していたが、スマホ部門のみトップが交代した直前だったこともあり、目標値を開示していなかった。
今回発表されたスマホ事業の2017年度目標は売上高9000億円~1兆1000億円、営業利益率3%~5%。同部門の今期売上高見通しは1兆3200億円であることを考慮すると、縮小路線に転じることになる。
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