おぼん・こぼん「人生チャンスは3回」不仲も活かす 華麗なデビューから57年、齢70歳過ぎて輝く訳

拡大
縮小

冒頭で触れたように、2人は芸能人や業界関係者ご用達の高級キャバレー「赤坂コルドンブルー」で芸を磨いた。

コルドンブルー以前の全国のキャバレーを周遊する下積み時代については、2人の著書である自伝的回顧録『東京漫才』に譲るが、当時を振り返って、「ものすごくかっこいい演者が多かった。そういうものにあこがれた」と口を揃える。師匠を持たず、エンターテインメントの世界に身を置いた点も、おぼん・こぼんの独自性につながることになる。

こぼん:「漫才だけやっていてもウケないですから、オープニングを作って、音楽的な要素を入れて、構成を考えるようになったんです。ステージとして成立させなければいけなかった」

おぼん:「タップやジャズ、楽器を教えてもらったり。楽しかったけど、芸を磨くのに必死。生活が安定しているなんて思う余裕はなかった」

「お笑いスター誕生!!」でグランプリ

目の肥えた客を笑わせる日々を過ごしていた2人は、32歳のとき「お笑いスター誕生!!」で一度も不合格を出すことなく10週連続勝ち抜きグランプリを受賞。初期の「お笑いスター誕生!!」で、この偉業を成し遂げたのは、B&Bとおぼん・こぼんのみである。しかも、その内容は、「10週勝ち抜きのうち9本はコント。漫才は1本しかやらなかった」というから驚きである。

おぼん:「漫才は9週目にやったんだけど、フランス語をネタにした漫才をやってタップ踏んで、英語でジャズを歌った。いきなりディナーショーみたいなことをしたから、みんな驚いていたけど、予想通りドカンと跳ねた」

今年5月、「ENGEIグランドスラム」というテレビ番組で、おぼんがトロンボーン、こぼんがサックスを演奏する音曲漫才を披露したが、こうした芸のバックボーンは、「赤坂コルドンブルー」時代に磨かれたものだ。

次ページ漫才はもともと万(よろず)の才能
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT