坂上忍さんが危惧する「日本の保護活動の行く末」 動物の世話をする人の生活が守られていない

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――私も滋賀県の自然の中で暮らしているので、それはわかります。キリキリ感がないです。

坂上:キリキリ感って動物たちに伝わりますからね。なので、「さかがみ家」のスタッフには「とにかく昼寝をして」と言っています。何かやらなきゃじゃなくて、「お世話の時間は決まっているので、その合間はどこかでゆっくり昼寝をしてください」「昼寝も仕事です」と。そうなると犬ものんびりします(笑)。

保護に特化した月刊誌を作りたい

――本当にみんなのんびりしているし、楽しそう。これを維持するためには、やはり事業として永続していかないといけなくて、その先には夢の実現もあります。そのために、どんなことをしていこうと考えていますか?

坂上:すでに動き始めているのは、害獣駆除問題に絡めたジビエのおやつや、犬・猫のグッズ、消臭剤の販売などで、いろいろな企業と会い、商品化を模索しています。それと、これは周知活動としてですが、保護に特化した月刊誌を作りたいなと。

僕がやらせていただいている動物番組はかなり保護に特化しているのですが、それでも「保護犬ってどうやって引き取るの?」と知らない人が圧倒的に多くて。だからベーシックな部分の周知というのも大切なんだと思って。その両面で進めていますね。これらの収益で自立できれば、その先のフランチャイズ展開にもつなげていけると考えています。

ぶっちゃけ、大変なものに手を出したなあとビビってはいます。でも、僕にとってはこれが人生を賭けた最後の挑戦だし、それに絶対に失敗はできない。動物の大切な命を預かっていますからね。だからこそ、お金を稼ぐためならとにかく何でもやろうという覚悟なんです。なんとか収益を上げて、できるだけ早い段階で事業化したいですね。

さかがみ家の挑戦は始まったばかり(写真:著者提供)

<インタビューを終えて>

「さかがみ家」の挑戦はまだ始まったばかりだ。きっとこれからもいろいろな壁にぶつかることだろう。

しかし、広いドッグランで走り回る保護犬や、キャットランに勢いよく飛び出してくる保護猫の生き生きとした姿を見ていると、何かが少しずつ動き始めている気がしてくる。そこで働くスタッフたちの背中を力強く押していくのは、彼らの存在なのかもしれない。

阪根 美果 ペットジャーナリスト

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さかね みか / Mika Sakane

世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者・Pet Saver(ペットの救急隊員)。ペットシッターや保護活動にも長く携わっている。ペット専門サイト「ペトハピ」でペットの「終活」をいち早く紹介。豪華客船「飛鳥」や「ぱしふぃっくびいなす」の乗組員を務めた経験を生かし、大型客船の魅力を紹介する「クルーズライター」としての顔も持つ。

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