坂上忍さんが危惧する「日本の保護活動の行く末」 動物の世話をする人の生活が守られていない

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――収益を上げるためには、「坂上忍」という名前をフルに使うということですが、どのようなことをしようと考えていますか?

坂上:そういう反則技を使ってでもということなのですが(笑)。結局、自力運営を目指すといっても、老人ホームの経営のように国の助成金が下りるわけではないので、「坂上忍」というネームバリューをフルに使ってでも収益を上げて、民間として助成金制度を実現したいですね。

また、動物の保護活動は職業として認められていないので、「保護士」という職業を世の中に作るという夢もあります。僕はここでお金を稼げるありとあらゆることをやって、核になるものを作ろうと考えています。動物のお世話をする人の生活を守りたいんです。そうしたら、その人たちだって気持ちよくお世話ができるじゃないですか。

あるとき、動物に関わる人たちに集まってもらって、自由に話していただく会を開いたのですが、何十年も動物の世話をしてきた保護団体の代表の方が「もう60歳を過ぎました。自分には退職金がありません。動物のお世話ができたことは幸せでしたけど、この歳になり急に不安が襲ってくる瞬間があるんです」と話されたんです。僕は「そりゃそうですよね」って思って。でも、その人を責めることはできません。その人がいなかったら苦しんでいる動物がもっと沢山出てしまっていたわけですから。

だから言葉は悪いですけど、そこには絶対に「商売」というものを取り入れて、そういう人を守らないと、その人がやってきたこと自体が否定されかねないなと。他人から否定されるということもありますが、「これでよかったのだろうか」と、自分自身を否定してしまうのは残念ですよね。

何もやらないデロデロなお父さん

――たくさんの動物たちの命を深い愛情で救ってきた人が、晩年にそんな思いを持ってしまうような仕組みは何とかしないといけないです。

坂上:僕は、東京で動物と暮らしていたときは、生意気ですけど「ちょっと優秀な、しつけが上手な飼い主」みたいな感じでした。でも千葉に来てからは、何もやらないデロデロなお父さん(笑)。でも、実際どっちがいいのかなと思っているんです。

こちらには草が多いし、犬が散歩中におしっこしてもペットボトルの水をかけるなんて誰もやらないし、うんちも拾わないですよ。まあ「うんちはちゃんと拾わないと」とは思いますけどね(笑)。ただ、そういう環境で自分も緩くなっていると、犬も猫も楽しそうなんですよ。

広いドッグランで犬たちはのびのび(写真:著者提供)
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