FRBの今回の利上げは0.75%にとどまるのか? 市場が今後警戒すべきなのは金利だけではない
いずれにしてもFRBが今回のFOMC以降、一段とタカ派的な方針を打ち出す可能性が強まったことは疑いようもない事実だ。7月のFOMCまでにインフレ圧力が後退する兆しがほぼなくなったことで、9月以降も0.5%の利上げを継続、政策金利を最終的に4~5%台まで引き上げるとの見方が強まっている。
5月のCPIが発表になるまでは、市場では「インフレが落ち着いてくれば、景気に良い影響も悪い影響も与えない中立的な水準とされている2%台後半の水準あたりで、利上げも打ち止めになるのでは」との期待もあった。
だが今や「インフレをしっかりと抑制するためには、景気や雇用を冷え込ませるリスクを負ってでも、金利は少なくとも5%を超えるあたりまでは引き上げるべき」との意見が優勢になっている。それだけに、今回のFOMCでは今回だけでなく次回の7月、さらには9月以降の利上げ観測に対して、市場が反応する余地も大きくなりそうだ。
FRBの「資産売却加速化」にも注意が必要
また、多くの人が金利にばかり目が行っているようだが、今後、FRBのQT(量的引き締め=バランスシート縮小)に関しても注意が必要だ。例えば、FRBが住宅ローン担保証券(MBS)を直接市場で売却するサプライズなどのことがありうるからだ。
FRBは現在「償還を迎えた債券についてはあらためて購入しない」という方法で、バランスシートを徐々に縮小していくとしている。
もちろん、普通の国債の保有高を縮小するには、それで何の問題もない。だが、MBSの場合は勝手が違ってくる。
というのも、MBSはその性質上、償還までの期間が長いものが多いからだ。現在、明らかにしているのは6月以降、毎月475億ドル(内訳は米国債など300億ドル、MBSについては175億ドル)を縮小。3カ月後の9月には950億ドル(米国債など600億ドル、MBS350億ドル)に増加させ、その後は同金額を継続、資産縮小をするというものだ。
MBSの場合、償還を待っている分だけでは十分に目標を達成できない恐れがあるのだ。もし、FRBが方針を変更、MBSを直接市場で売却するようになるなら、当然ながら住宅ローン金利には上昇圧力がかかり、需要を急激に冷やすことが考えられる。可能性は高くはないものの、FRBがインフレを沈静化させるために、こうした非常手段に出ることも考慮にいれておいたほうがよい。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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