日本は公務員減らしすぎ?都庁改革で見た超本質 日本の行政はまるでログインできないAmazon

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東京都副都知事に転じた宮坂学氏から見た行政のデジタル化の課題とは?(写真:iwasaki_2020 / PIXTA)
日本のデジタル化(DX:デジタルトランスフォーメーション)が大きく遅れている。このままだとその必要性も認識できないまま改革も進まず、世界からも「遅れた住みづらい国」として取り残されていく懸念も高まっている。
この状況に対し、行政のデジタル化改革に取り組んでいるのが、ヤフーの経営者から東京都副都知事に転じた宮坂学氏だ。新経済連盟が日本の未来戦略をまとめた新刊『JAPAN TRANSFORMATION(ジャパン・トランスフォーメーション) 日本の未来戦略』から、宮坂氏と新経連幹事・新浪剛史氏(サントリーHD社長)による行政の未来戦略を紹介する

「数値化」でデジタル改革は進む

宮坂学(以下、宮坂):長く身を置いていた「デジタルで回っている世界(ヤフー)」から「紙で回っている世界(東京都)」に転じた当初は驚きの連続でした。

たとえば、情報を伝えるときも、いまだに「添付ファイルをプリントアウトして回覧する」といった習慣が根強いので、とにかく日々扱う紙の量が多い。DXの前に、その手前の「DX ready」な状態に整える必要がありました。まずわかりやすい結果を出すために、最初に着手したのは「紙を減らす」ことでした。

宮坂 学(みやさか・まなぶ)東京都副知事 1967年山口県生まれ。同志社大学経済学部卒業。97年にヤフー株式会社へ入社し、2012年から2018年まで同社代表取締役社長を務める。2019年7月に東京都参与に就任し、同年9月より東京都副知事に就任。デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民のQOLを向上させる東京版Society 5.0 「スマート東京」の実現に向け、都政のDXを推し進めている。

重視したポイントは数値化です。都庁の中で使用する紙の枚数、コピー機の台数、ファクスの送信件数を部署ごとに算出して、数字を減らす目標を決める。「ファクス件数を98%削減しましょう」と都知事が言ったときには、「絶対無理だ」という反応が大半でしたが、すでに9割以上削減できています。

課題を数値化して、目標を定めて、うまくいった部門のノウハウを全体に共有する。まだまだ道半ばですが、企業でも実践してきた地道な改善スキームを取り入れれば、行政の〝当たり前〞も変えていけると確信しています。

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