日本は公務員減らしすぎ?都庁改革で見た超本質 日本の行政はまるでログインできないAmazon

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これをすべて自動化できると、個別に1円単位の給付も可能になります。Aさんには87円、Bさんに1325円というふうに、個々の事情に合わせた給付が簡単にできるようになる。ECサービス企業のポイント還元をイメージしていただければいいと思います。DXされていない今の行政でこれをやろうとすると、とても事務コストと見合わないので「一律5000円」となってしまう。

ゆくゆくは、一定のルールで提供する行政サービスはバーチャル公務員にやってもらい、もっと個別の事情に深く寄り添うような場面では生身のリアル公務員が膝を突き合わせてじっくりと向き合うような、メリハリのある二刀流を定着させていくイメージをもっています。

市民の〝参加ビリティ〞を高めたい

新浪:デジタルの力で市民の声が可視化され、地域のニーズが継続的・日常的に反映される行政へと変わることができれば、自然と民意を反映したリーダーも生まれやすくなる可能性はありますね。

宮坂:そう思います。市民が行政に参加できる頻度を高めていくことが重要だと思います。僕は、言葉遊びで「参加ビリティ(参加+アビリティ)」と名付けているのですが。

そして現役世代はもちろん、将来世代の参加についても十分な配慮が必要ですよね。2021年、子ども目線で都政の政策を進めていくために、「東京都こども基本条例」が、東京都議会で全会一致で可決・成立したのですが、これはすばらしいことだと思っています。

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高校生や中学生、小学生の意見まで都政に取り入れられるコミュニケーションの仕組みを考えていきます。これにもデジタルが大いに活かせます。

新浪:ぜひどんどん新しいチャレンジを行政で推進していただきたいです。改革に挑戦するときには、「何かが起こりそうだからやめておこうか」とブレーキを踏みがちですが、「やってみてから考えようよ」と一歩を踏み出すことが大事です。

サントリーには、創業以来受け継がれてきたチャレンジ精神「やってみなはれ」がありますが、「やってみなはれ」の精神の先に未来は開ける。挑戦に失敗はつきものですが、失敗も許容し、みんなで助け合って前に進める。そんな社会を一緒につくっていきたいものですね。

宮坂:デジタルのよさは、広く多様な人々を巻き込めるパワーを備えていることです。

政府や行政がよりオープンに扉を開いて、社会全体の「参加ビリティ」を高めていけば、たくさんの知恵を活かせる政府が実現できますし、誰もが当事者として未来の公共をつくっていけるはずです。

宮坂 学 東京都副知事

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みやさか まなぶ / Manabu Miyasaka

1967年山口県生まれ。同志社大学経済学部卒業。97年にヤフー株式会社へ入社し、2012年から2018年まで同社代表取締役社長を務める。2019年7月に東京都参与に就任し、同年9月より東京都副知事に就任。デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民のQOLを向上させる東京版Society 5.0 「スマート東京」の実現に向け、都政のDXを推し進めている。

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新浪 剛史 サントリーホールディングス代表取締役社長 新経済連盟幹事

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にいなみ たけし / Takeshi Niinami

サントリーホールディングス代表取締役社長/新経済連盟幹事
1959年神奈川県生まれ。ハーバード大学経営大学院を修了。ローソン代表取締役社長CEOを経て現職。2014年から日本の経済財政のコントロールタワーである経済財政諮問会議の民間議員。国際商業会議所(ICC)Executive Board、世界経済フォーラムInternational Business Council、米国The Business Councilのメンバーとして、グローバルに活躍。

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