「親自身の人生を振り返る」と子育てが楽になる訳 何があっても「なんとかなる」と考えるとよい

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電話をすると児童相談所の人が来てくれて、いろいろと相談にのってくれます。根本に経済的な問題など別の問題があれば、専門の窓口につないでくれます。

行政サービスというのは、なかなか自分ではわからないところも多いので、この189番に自分から相談して駆け込むと、行政ともつながりができるということもぜひ知っておいてください。

子育てのゴールっていったいどこにある?

子育てのゴールは一般的に、子どもが大学を卒業したら、就職したらなど、「子どもが〇〇したらゴール」と思われていますが、精神科医の私からすると、それだけでは不十分です。「親が“無力感”に耐えられるようになったときがゴール」と、とらえています。

どんな親でも、子どもをこんなふうに育てたい、こんな大人になったらいいなと、多かれ少なかれ希望や期待をもっています。しかし、たいてい子どもは思ったとおりには育ちません。いくら親が希望や期待をもっていても、子どもは子どもなりに考えた道を進むからです。それはあたりまえのことなのです。

子どもは子どもで親離れしていきます。親は寂しくて無力感があるけれど、それを受け入れるしかありません。結局、親としてできることってほとんどないんだなと受け入れて、子どもの気持ちや考えを尊重できるようになれたら、その時点で、親目線としての子育ては完了になるのです。

一方、子育てのゴールは親目線だけでなく、子ども目線からも必要です。子ども目線のゴールは、親から自立して、自分の責任で発言や行動ができるようになったときです。

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そのためには、子どもが小さいころから、自分の意見や考えを親に向かって伝えられるように、親は家を安心、安全と感じられる場所にととのえておくことが大切です。そうでなければ、子どもは親に向かって自分の考えや気持ちを伝えることはできません。

毎日、両親がけんかして、100点ならほめるけど、そうじゃないと許さないという条件つきだと、いつ自分の存在が拒絶されるかわからない不安や恐怖が生まれるので、そこに安心、安全はまったくありません。

子どもなりに、どんな選択をしても親は応援してくれると思えたり、うまくいかないことがあっても自分の存在自体を否定されることはないという安心感をもっていたりすれば、自分はこれをやりたい、この学校に行きたい、こういう職業に就きたいとのびのびと表現することができます。

自分をまるごと受け入れてくれる心の安全基地があるからこそ、子どもは自分の存在を自分で肯定できるようになるし、それによって責任をもった発言や行動ができるようになるのです。そこが子どもにとってのゴールです。

井上 智介 産業医・精神科医

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いのうえ ともすけ / Tomosuke Inoue

島根大学医学部を卒業後、さまざまな病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約40社を訪問。精神科医・健診医としての経験も生かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動。精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務。うつ病、発達障害などを中心に、精神科疾患全般に対応。すべての人に「大ざっぱ(rough)」に、「笑って(laugh)」人生を楽しんでもらいたいという思いから「ラフドクター」と名乗り、SNSや講演会などで心をラクにするコツや働く人へのメッセージを積極的に発信中。

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