日本人の給料が上がらないのは「企業が渋る」から 「骨太」打ち出した岸田首相が本当はすべきこと

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一定の賃上げを行った企業に与えられる一時的な減税の水準を引き上げることを提案したが、企業が一時的な税制優遇の見返りのために永続的な賃上げを行うことはないのは歴史が証明している。また、看護師など特定の職業に就く公務員の賃上げも約束した。

成長戦略の重要な要素――新興企業の数を今後5年間で10倍に増やす――に言及が及ぶと、改革者たちの不満はさらに高まった。科学技術・イノベーション会議が主導する官民合同チームは、日本の起業率を低く抑えている主要な問題点(銀行のような重要な問題は除外されているが)について、第一級の分析を行った。

例えば、初期段階の資金を提供する「エンジェル投資家」に対する税制優遇措置、新興企業が必要とする収入と信用を与える政府調達、資金難の新企業が優秀な人材を引き寄せるためのストックオプションの利用などだ。だが、最終文書では、これらの課題に関する具体的な提案は極力避けられている。

参院選を見据えた内容になってしまった

「参議院選挙が終わるまで待ってほしい」

不満の声を挙げた参加者の一部は、こう言われたという。官邸としては、具体的な救済策、特に税制や労働問題などに言及して、各省庁や利権団体の対立が表面化し、選挙で自民党が不利になることをおそれたのだろう。

例えば財務省は、新興企業の育成に必要な減税措置に繰り返し反対している。官邸は、年末までに「5カ年計画」を発表し、具体的な内容を盛り込むと約束した。しかし、複数の参加者と話をしたところ、そのプランが本当に充実したものになるのか、期待こそすれ、自信はあまりないといった様子であった。

ある関係者は、岸田首相が限られた政治資金を防衛費の増額に費やし、議論を呼ぶ経済対策のための資金を十分に残せないことを懸念した。また、自民党内の岸田派は比較的小さく、安倍氏や麻生太郎氏が率いる強力で保守的な派閥を疎外するわけにはいかないと強調する者もいた。

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