日本人の給料が上がらないのは「企業が渋る」から 「骨太」打ち出した岸田首相が本当はすべきこと

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いずれにせよ、多くの日本人の所得が低迷している最大の原因は、この国の少数の真の富裕層にあるのではなく、企業所得と家計所得の差である。企業は「内部留保」、つまり賃上げや投資、あるいは税金で経済に還元されない利益をため込んでいるのだ。

さらに悪いことに、過去数十年間、東京都は企業減税のために消費税増税を行い、家計から企業へ繰り返し所得を移転してきた。政府は1998年以降大企業に対する法人税率を大幅に引き下げ、現在は30%になっている。

経団連と経済産業省は、企業は余分な現金を使って賃金や投資を増やし、それによって1人当たりのGDPを押し上げるので、法人税減税によって誰もが恩恵を受けると主張した。事実上、政府は企業と取引をしていたのだ。もし、われわれが法人税を下げれば、企業は賃金を上げてくれるだろうと。しかし、企業がその約束を果たすことはなかった。

企業の内部留保だけが膨れ上がっている

11月26日の「新しい資本主義実現会議」では、この取引がいかに失敗したかを示す資料が配布された。2000年から2020年にかけて、国内数千の大企業の年間利益はほぼ倍増(18兆円増)したが、労働者への報酬は0.4%減、設備投資は5.3%減となった。

その結果、内部留保は20年間で154兆円も膨れ上がった。これは1年間のGDPの3分の1にも相当する。もし、企業がその余剰資金を賃金に回していたら、今日の生活水準は大幅に向上し、消費者の需要も高まっていただろう。中小企業でも同じパターンがみられており、ため込んだ現金が増える一方で、労働者の報酬は減少した。

このパターンは、岸田首相が「健全な成長も健全な分配も、他方なくしては存在しえない」と正しく指摘した通りである。労働者が作ったものを買うだけの収入がなければ、経済が成長するわけがない。国内で製品を売ることができず、円安にならないと海外で売ることができないのであれば、企業はなぜ拡大投資をするのだろうか。

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