日本のスポーツ教育で暴力の根絶が難しい理由 サッカー現役日本代表「指導者はもっと勉強を」

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学校教育法11条は、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」と定めている。が、この規定に違反した場合の罰則は定められていない。

カナダ人の父と日本人の母を持ち、現在、ベルギーで生活するダニエル選手は、平均的な30歳の日本人よりもグローバルな視線を持つ。

ストレスのないほうに向かう行為は“逃げ”じゃない

「少しずつは日本も変わっているように思いますが、根付いているものが深すぎるので、悪い文化も日本の文化として残そうとする人がいますよね。正直、どう変えればいいのか、具体的にはわかりません。

秀岳館高校サッカー部には傷ついた子がたくさんいるでしょう。受けた傷はなかなか癒えないし、サッカーが原因でそうなったと感じることもあるでしょう。

でも、タイミングが合えば、サッカーが楽しいと思える環境で、もう一度チャレンジしてほしいです。悪い指導者や環境から離れることができるなら、そういうチョイスをしてもらいたいですね。

ストレスのないほうに向かう行為は、僕はいい選択だと思うんです。決して『逃げ』じゃないですよ。ぜひ、そういう『決断』をしてほしいです」(ダニエル選手)

2022年11月開幕のカタールW杯を控える日本代表は、この6月に強化試合としてブラジル、パラグアイなどと4試合をこなす(注:取材時点。現在は試合を終えている)。先日発表された代表メンバー28人の中に、「シュミット・ダニエル」の名も当然のように入っていた。

ダニエル選手には暴行を受けてサッカーが嫌になった経験はない。中央大学に入学した頃の粗削りだった彼に、確かな可能性を感じた佐藤さんは、10年スパンで花を咲かせる育成環境を作った。

はたして暴力指導者たちは、佐藤さんのコーチング論やダニエル選手の言葉を耳にしても、何も感じないだろうか。

(ノンフィクション作家・林壮一)

【筆者プロフィール】
林 壮一(はやし そういち):1969年生まれ。東京大学大学院情報学環教育部終了。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するが、左肘のケガで挫折。1996年渡米。ネヴァダ州リノ市の公立高校で講師を務めるなど、教育者としても活動中。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』(光文社電子書籍)『ほめて伸ばすコーチング』(講談社)など。

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