今の日本で「ナチス映画」が大量に公開される背景 関連作品は月1本のペースで封切られている

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ヒトラーやナチスをテーマにした作品が増えているのはいったいなぜなのか。写真は「ARBEIT MACHT FREI」(働けば自由になる)と書かれたアウシュヴィッツ強制収容所の入り口看板(写真:リュウタ / PIXTA)
日本において、ヒトラー、ナチスに関連した映画や書籍が相次いで発表されている。いったい、なぜこれほどまでに関心が寄せられているのだろうか。そして、われわれはこれらをどのように観るべきなのだろうか。
『ナチス映画史ーヒトラーと戦争はどう描かれてきたのかー』から一部を抜粋してお届けする。

近年、ヒトラーやナチスを題材とする映画が多数製作、公開されている。

2015年から2021年の7年間に日本で劇場公開された外国映画のうち、ヒトラー、ナチスを直接的テーマとするものや、第二次大戦欧州戦線、戦後東西ドイツ等を題材にした作品は筆者がざっと数えただけで70本ほどある。

月に1本のペースで封切られるナチス映画

つまりこの間、毎年10本、ほぼ月に1本のペースでこうした映画が封切られていたことになる。コロナ禍のさなかにあった2021年の夏も4本のホロコースト関連作品が公開されていたのだ。

このうち、タイトル(邦題)に「ヒトラー」や「ナチス」と記されているものは16本、ナチスドイツの主要人物アイヒマンなど人名の付いているものも7本あった。

参考に、日本での公開年順に1年に1作ずつ挙げる(邦題、監督、製作年・国)。

・2015年 『ヒトラー暗殺 13分の誤算』(オリヴァー・ヒルシュビーゲル 2015年独)……ミュンヘンで実際に起こったヒトラー暗殺事件を描く。
・2016年 『帰ってきたヒトラー』(ダーヴィト・ヴネント 2015年独)……ベストセラー風刺小説の映画化。ヒトラー総統が現代に甦る。
・2017年 『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発』(マイケル・アルメレイダ 2015年米)……人間の内なる残酷性に、戦後アメリカの大学の心理学研究室で行なわれた実験結果から迫る。
・2018年 『ヒトラーと戦った22日間』(コンスタンチン・ハベンスキー 2018年露)……史実を題材とした強制収容所での蜂起・脱走劇。
・2019年 『ナチス第三の男』(セドリック・ヒメネス 2017年仏・英・ベルギー)……ヒトラーの後継者と目されたチェコ副総督ハイドリヒ襲撃事件。
・2020年 『名もなき生涯』(テレンス・マリック 2019年米・独)……戦場においても人を殺さないという良心に従いドイツ軍への兵役を拒否した農夫を描く。
・2021年 『沈黙のレジスタンス』(ジョナタン・ヤクボウィッツ 2020年米・英・独)……パントマイムの巨人マルセル・マルソーがユダヤ人の子供たちを救った実話の映画化。
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