なぜウクライナだけ?放置される「難民申請者」 「扱いの違い」に愕然とする支援者の声

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政府は滞在が長期化する場合に備え、1年間の滞在と就労、さらに国民健康保険の加入が可能な「特定活動」への切り替えを提案している。ウクライナ避難民が入国する際の在留資格は、最大90日間滞在できる「短期滞在」で、就労は認められないからだ。

極めて柔軟な対応だが、長澤氏のような支援者らは「以前から助けを求めている人を差し置いて、なぜウクライナ避難民を特別扱いするのか」と、複雑な思いを抱いている。長澤氏が支援する外国人のほとんどは、日本での難民申請がなかなか通らず、「仮放免者」として暮らす外国人だ。

受け入れられない3000人弱の外国人

仮放免者とは、在留資格を持たず、国外退去の処分などが下された外国人のことだ。何らかの事情により退去を拒み、出入国在留管理庁の施設に収容された後、健康上の理由などで施設の外で暮らすことを「仮放免」と言う。

出入国管理庁によれば、日本には2020年末時点で、収容者が942人、仮放免者が2217人いる。収容者の場合は約7割が、仮放免者の場合はほとんどが、強制送還を拒んでいる。さらに、仮放免者2217人のうち、64%が難民認定を申請中だという。

つまり、3000人弱の外国人が日本に滞在したいが、受け入れられていない状況にある。支援団体によると、日本に家族がいる、あるいは政情不安によって自国に帰れないなどの理由によって、国外退去を拒んでいるケースが多いのだという。

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