迫る参院選で「優勢」の岸田自民党、実は死角だらけ コロナ対策や景気対策、防衛費増額など難題山積
安倍氏は財政問題をめぐる論議でも波乱要因となっている。自民党内では来年度の予算編成に向けて財政再建を唱える麻生太郎副総裁や額賀福志郎元財務相らのグループと、財政出動を訴える安倍氏や西田昌司参院議員らのグループとの対立が激しくなっている。
岸田首相は当面の景気対策のための財政出動は容認しつつも、将来的な財政再建の必要性を重視する立場。麻生、安倍両氏に挟まれている岸田氏は、参院選の論争で立場を明確にするよう迫られるだろう。
防衛費だけでなく、医療費などの社会保障や教育関連経費など歳出増が予想されるのに対して財源を確保するための増税に踏み切るのか。岸田首相は参院選の党首討論などで追及されるだろう。
そこで、増税を打ち出せば反発を招くし、増税を否定すれば「無責任」といわれる。どっちつかずの対応を続けるようだと、「優柔不断」との指摘を受ける。岸田首相にとっては綱渡りの論争になる。
物価高騰も懸念材料
岸田首相にとって、物価高騰も懸念材料だ。ウクライナ戦争で世界的な原材料高が続いているのに加え、急激な円安が消費者物価を押し上げ、4月は対前年同月比2.1%を記録した。消費税率引き上げのケースを除けば13年ぶりの上昇率である。野党側は「岸田インフレ」と批判を強めている。
アベノミクスによる金融緩和で進んだ円安は当初、輸出企業の業績を好転させ、株高につながった。しかし、アベノミクスでは成長戦略や構造改革が立ち遅れ、日本経済は停滞。日本経済の弱さを示す「悪い円安」が続いている。
今回の円安は、金利引き上げを続けるアメリカとマイナス金利の日本との「金利差」にも起因している。政府・日銀は、円安による物価高への影響は「全体の3分の1程度」と分析しているが、金融緩和・低金利政策から脱却できない岸田政権の経済政策が批判にさらされている。
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