「ソルテラ/bZ4X」比較でわかった味付けの違い サウンドシステムの違いも乗り味を左右する

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全体の感想としては、ソルテラと比べ“しんなり”した印象で、万人向きというイメージだ。とても自然体で乗れて、すっきりとした心持ちとなる。一方で、パフォーマンスの高さも実感した。

新東名での時速120km区間では、高速巡行からの追い越しで、大排気量の上級チューニングカーを連想するような迫力ある加速を見せたのだ。

もっとも驚いたのは、日本平でのワインディング路でのハンドリングと走り味だった。低速コーナーが続いても、少ない操舵角でスーっと旋回し、BEVとしての重量をあまり意識させないのだ。

「bZ4X」日本平でのコーナリング(写真:トヨタ自動車)

また、ソルテラのようにパドルシフトはないが、コーナー進入時のブレーキングにともなう回生力のかかり方(タイミングと量)が、絶妙にコントロールされている。そこから、コーナーにスっと入っていくため、安心感がとても高い。

ハーマンカードン/JBLによるサウンドの違い

ソルテラとbZ4Xには、ハンドリングや走り味でスバルとトヨタそれぞれの味があり、いわゆる兄弟車であっても単なる“バッジ換え”という印象はまったく持たなかった。

加えて、印象的だったのが、車内サウンドシステムによる違いだ。

ハーマンが、ソルテラとbZ4Xの個性に合わせて、それぞれハーマンカードンとJBLで専用設計を施している。その違いが、実によくわかるのだ。

「ソルテラ」のスピーカー構成図(写真:SUBARU)

ハンドリングと乗り味でかっちり感を強調するソルテラでは、ハーマンカードンの11スピーカーシステムが、音質は明瞭でもどこかふんわりとした音場を作ってくれている。

一方、しっかりの中で“しんなり”な乗り味を持つbZ4Xでは、フロントのワイドディスバージョンスピーカーと2.5cmのホーンツイーターから、明瞭度の高い音質が伝わるなど、音場で演奏者の存在感をくっきり感じるのだ。

BEVは静粛性のみならず、パワートレインからの振動も少ないために、こうしたサウンドシステムにおける差を乗員がしっかり感じ取れる。

擬似的なエンジン音を発するわけではなくても、車内が静かなBEVではオーディオサウンドも印象を左右するファクターであると改めて実感した。

ソルテラとbZ4X、母体は同じでもドライバーの感じ方ははっきり違う。そう感じた長距離比較試乗だった。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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