ベネフィット・コーポレーション登場の意味とは 「意識の高い」株式会社を作る方法を考える
このような方法には2つの問題がある。第1に、富を創出する過程において多大な社会的損害を生じさせるという点である。第2に、蓄積された富が本来あるべき生産的な形で用いられないという点である。
その代わりに、これらの資産を生産的で啓発的な株式会社に投資すれば、富の創出は富の消費と一致し、そのような一致を手助けすることとなる。それによって、成功した起業家を啓発的な株式会社の改革者とすることで、信じられないほどの富の不平等という社会的不正義を、最も弱い立場にある者を保護するための源泉へと転換することができる。
人類の利益のための株式会社を作る
しかし、どのようにして、新たに設立され規制も受けるわけでもない、現在数多く存在している企業に、啓発的な方針を採用させることができるだろうか。
これらの企業の所有者の利益が金銭的利益だけであるとするならば、これらの会社の目的は依然としてかたくなに利潤を追求することにある。
年金基金、ヘッジファンド、政府系ファンドは、長期的で持続的な活動が、受益者である年金受給者、投資家、一般市民の利益となると信じる場合にのみ、そのような活動に従事する。そうでなければ、そのような活動に彼らは従事しない。
啓発された利己心によって優れた金銭的成果を上げることができ、それによって長期的で持続可能な投資に従事する方向へと向かうかもしれない。しかし、われわれにはそれを待つ余裕はない。
われわれはそれを待つ必要もない。本書は、株式所有構造、ガバナンス、新しい会計制度、法、規制の組み合わせにより、どのようにして啓発的で事業上も成功する株式会社を出現させることができるのか詳述する。
それにより、このような新しい形態の株式会社が会社の掲げる目的を促進し、私的利益に加えて、人類、社会、環境に利益をもたらすことが可能であることが明らかとなるだろう。
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