ベネフィット・コーポレーション登場の意味とは 「意識の高い」株式会社を作る方法を考える

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ベネフィット・コーポレーションとは何か、(写真:metamorworks/PIXTA)
日本でもパーパス経営の重要性が問われるなか、過去半世紀にわたり、企業のあるべき姿を規定してきた「フリードマン・ドクトリン」に真っ向から立ち向かう書籍『株式会社規範のコペルニクス的転回』が翻訳出版された。
世界の知性を輩出してきたオックスフォード大学のMBAコース設立に初期から関わり、たくさんのビジネスエリートを教育してきたコリン・メイヤー教授の渾身の力作から、昨今日本でも話題のパブリック・ベネフィット・コーポレーションに関する記述を抜粋・編集して紹介する。

ベネフィット・コーポレーションとは何か

過去10年間で最もイノベーションとなった発展の1つは、アメリカにおけるベネフィット・コーポレーションの登場である。ベネフィット・コーポレーションはアメリカの30以上の州に広がっている。

『株式会社規範のコペルニクス的転回』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

ベネフィット・コーポレーションは、その事業目的と並んで明示された公的目的を持つ会社である。これらの目的は、基本定款または附属定款に記載されている。

この公的目的を実現するために、取締役会はこの公的目的を支える信認義務を負っており、もしこの目的の実現に失敗した場合、取締役が会社の目的を逸脱するのを防止するために、株主は差止命令による救済を求めることができる。

ベネフィット・コーポレーションが潜在的にとりわけ強力であると思われるのは、経済において上位に位置付けられている機関、すなわち銀行、公益企業(エネルギー、電気通信、運送、水道会社)、制度上重要な機関、健康サービス提供者、著しい市場支配力を持つ会社などに対し、命令を行う点である。

目下のところ、これらの企業の利益と、社会全体の利益、つまり、これらの企業からサービスを受ける一般市民の利益とを一致させる方法はただ1つだけであり、それは規制である。

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