精神科医が警鐘「マスクを外すのが不安な人々」へ 脳や自律神経、肺などに問題が生じる可能性も
次いで、酸欠は、体全体の免疫力の低下を招きます。酸素不足に陥ると、血流が悪くなり、免疫細胞を全身に十分に運べなくなるのです。つまり、新型コロナ感染予防のためマスクをかけているのに、免疫力を落としてかえって感染しやすくなるという話にもなりかねないのです。
酸欠以外にも多種多様なデメリットが
「酸欠」以外にも、「マスクをかける」ことには、多種多様なデメリットがあります。列挙すると、
・呼吸が浅くなるため、自律神経系に悪影響を及ぼします。
・心拍数が増え、循環器系に負担がかかりやすくなります。
・口の中の渇きを感じにくくなり、水分不足に陥りやすくなります。
むろん、ご承知のように、「体温調節がうまくできなくなる」というマイナスもあります。
人の体には、体温を一定に保つ機能が備わっていて、体温が上がったときには、体熱放散機能を働かせて、体温を下げようとします。しかし、マスクをしていると、その機能がうまく働かなくなるのです。とりわけ、気温・湿度が高い夏場は、熱中症の原因になり、悪くすれば命を落とすリスクさえ生じます。
そして……切りがないので、このあたりでやめておきますが、マスクが人体にとって「諸刃の剣」であることは、おわかりいただけたと思います。少なくとも、マスクをすることが、未来永劫「常態化」していいわけではないことは、ご理解いただけると思います。
本稿では、以上のようなマスクのデメリットを「マスク禍」と総称しますが、ここで、少々視点を変えて、精神科医の立場から、あまり語られることのない「マスク禍」について、お話ししたいと思います。
欧米の人々があれほどマスクを嫌うのは、「相手の表情を見ながら、コミュニケーションをとる」という人間の基本的な行動が失われることが、動機の1つになっています。それもあって、アメリカやイギリスでは、ワクチン接種が一定程度進んだところで、マスク着用義務が段階的に解除されました。
一方、わが国では、ワクチン接種率が欧米を超えても、依然、マスクを外せない生活が続いています。このまま、ずっとマスクをつけ続けていると、どうなるか──。おそらく、微妙なコミュニケーション能力が失われていくと思います。
例を挙げると、私たちは、コロナ禍前のマスクをしていない頃、相手の「作り笑い」を表情から見抜いてきました。
人間は、本当におかしいと思って笑うときには、まず口が笑い出し、続いて目が笑います。口と目の動きには若干のタイムラグがあるのです。一方、作り笑いでは、口と目が同時に笑いはじめる。意図的に笑顔を作ろうとすると、口と目が同時に動いてしまうのです。
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