最近「取り残された感」覚える人が注意すべきこと 元通りに戻りゆく生活につらさを感じる人へ

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後者の1カ月という期間を設けている理由は、ショッキングなことに出会ったとき、私たちは落ち込んだり憂うつになったりするが、時間とともに立ち直っていく。その期間がおよそ1カ月とみているため。それを超えると、やはり立ち直る力が落ちていると考えられる

「心当たりがあったら、誰かに相談を。家族や友人のような身近な人だけでなく、専門家の意見もちゃんと聞いておくことが大事です。そういう助けを求める行為を、『ヘルプ・シーイング・ビヘイビア(Help Seeking Behavior)』といいますが、これができる人ほどうつの重症化を防ぐことができます」(張医師)

ここで、厚労省の相談窓口を挙げておく。もちろん、メンタルクリニックや精神科に直接、受診してもいいという。

【電話やSNS による相談窓口の情報
#いのちSOS(電話相談)
チャイルドライン(電話相談
生きづらびっと(SNS 相談)
あなたのいばしょ(SNS 相談
ころのほっとチャット(SNS 相談)
10 代20 代女性のLINE 相談)

SNSや情報と適切に距離を取ろう

「取り残された感」を強く覚える場の1つが、SNSやメディアからの情報だろう。このSNSとメンタルヘルスの関係について、5月上旬にイギリスから興味深い研究結果が報告された。

同研究は、SNSを毎日利用しているという154人(18歳以上)を、SNS(インスタグラム、フェイスブック、ツイッター、ティックトック)の利用を1週間休むグループと、通常通り使うグループの2群に分けて、それぞれの精神的健康やうつ症状、不安症状を評価した。その結果、1週間休んだグループではこれらのメンタルヘルスが改善したことが明らかになった。この結果から張医師が考察する。

「諸刃の剣ともいえますが、メンタルヘルスの悪化にはSNSの影響はあると思います。SNSではさまざまな人やコミュニティの情報を得ることができます。そこに乗って一緒に楽しめる人はストレス発散になりますが、反対に乗り切れない人は疎外感を強める一因になります」

また、この研究は一般の健康な人を対象にしているが、鬱々とした気持ちを抱えている人や、うつ病の患者にも当てはまるのではないかという。

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