時代の最先端を走った、「新幹線500系」の人気健在 乗るなら元グリーン「6号車指定席」がおすすめ

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新大阪駅20番のりばに「こだま838号」として11時12分に到着すると、20分間の停車時間中に降車、車内清掃、乗車の段取りが比較的ゆったり進む。その間に編成を眺める。他形式より長い車長27mの先頭車は、うち15mを傾斜部として円筒形断面に無理なくつながってゆく。そのスマートさは人気の根源として、今も変わらない。

ブルーとグレーの塗色もまさに異色で、先頭側面に描かれた「JR500」のロゴが重要なアイコンである。変わらぬそれらに対して、2両目の前側(最後部車両側でも同様)屋上には静電アンテナが立っている。

これは、16両編成時代はパンタグラフカバーの中に隠されていたものだが、8両編成化の改造に際して露出した。そして同車後方に備わるパンタグラフは往時の翼型ではなく、シングルアーム式になっている。これが8両化されたV編成の外観上の大きな特徴だ。ほかには行先表示装置が昨年度までにすべてフルカラーLED化されている。500系登場の頃はまだ3色LEDの時代であり、後継の700系でもJR東海は見やすさの観点からLEDに移行せず、あえて幕式を採用し続けた。そうした装置にも時代の変化を教えられる。

元グリーン車で窓も大きな6号車指定席

定刻を前に着席したのは6号車指定席。その車両はかつてのグリーン車であり、8両編成中3両の指定席車の中でもオススメだ。

『鉄道ジャーナル』2022年7月号(5月20日発売)。特集は「昂奮の記憶1997」(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

そのまま着座すると背が直立するような一般的な片側2人、片側3人掛け座席に対して端からフィット感が違う。シートピッチが広い分、窓も他車より少し大きく、最新形式のN700Sと比べたら一回りではすまない。

新大阪まで乗ってきた「のぞみ」は、まん延防止等重点措置も解除された春を迎え、B席以外は埋まる高い乗車率であったが、それに対して山陽区間の「こだま」は1両に三々五々といった乗り具合で、空調の冷気が心地よい。発車するとすぐに左眼下に223系や225系が居並ぶ宮原の車両基地が広がり、まもなく「いい日旅立ち」のメロディから案内放送が始まる。林立するマンションの中に東海道本線の線路が一瞬だけ接近すると、列車は一段と加速した。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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