「会社四季報」は年4回、毎号読むから意味がある 超ベテラン編集者が教える「損しない」読み方

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100人規模のセミナーでも、挙手するのは5~6人あたりだろうか。最も多いのは年に2冊買う人で、次が1冊だけという人たちだ。

「ではその1冊は、春号(3月発売)、夏号(6月発売)、秋号(9月発売)、新春号(12月発売)のどの号ですか」とさらに聞くと、多いのは夏号、次がその半年後に発行される新春号の順となる。

おそらく、多くの方は、3月期決算の発表後に発売される夏号(6月発売)が会社四季報の本命なのであって、ほかの号はアップデート版程度と考えているのかもしれない。しかし残念ながら、それでは会社四季報の本当においしいところを食べ残したままなのだ。

「へーっ!」という気づき

私は、会社四季報の最大の〝効用〟は「気づき」にあると思っている。気づきには2種類あり、1つは「へーっ!」という気づき、もう1つは「あれっ?」という気づきだ。

たとえば、「カレーハウスCoCo壱番屋」を全国展開する壱番屋。会社四季報を見ると「ハウス食品の子会社」と書かれ、株主欄を見ると筆頭株主は確かにハウス食品グループ本社で50.9%を握っている。壱番屋は2015年にハウスに買収されたのだが、知らない人のほうが多いのではないだろうか。これが「へーっ! 知らなかった」という気づきだ。

では、カジュアルウェアの「ユニクロ」を世界展開するファーストリテイリングの株主数は何人だろうか?

会社四季報でチェックすると、2021年8月時点でわずか7184人しかいない。それでもここ数年で増えたほうだ。

全国4証券取引所(札幌、東京、名古屋、福岡)の調べによると、2021年3月末の1社あたり平均株主数は1万6039人だから、ファストリは平均の半分以下である。ちなみに証券コードがお隣で個人投資家に人気のソフトバンクグループの株主数は、ファストリの約32倍の23万2576人もいる。ファストリの比較銘柄に位置づけられるユナイテッドアローズは1万3551人、ZOZOも1万2137人の株主がいる。

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