「暴行問題」の秀岳館、コーチと監督が退職の背景 県リーグ戦の延期は5週連続で対抗校は困惑

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秀岳館高校(2022年5月5日、写真:日刊スポーツ)

熊本県八代市の私立秀岳館高サッカー部の30代男性コーチが3年生部員に暴行して書類送検された問題で、当該コーチの懲戒免職処分と退職、段原一詞監督(49)の退職が熊本県への取材で18日、分かった。

県は、17日午後8時過ぎに学校側から、段原監督、当該コーチの退職と、コーチの懲戒免職処分の報告を受けたという。

学校側は、5日記者会見時点では、刑事処分を踏まえ、監督、コーチの処分を決める方針だった。

だがその後、監督については、一連の騒動の責任を取る形で退職願が提出されたため受理した。

サッカー部の復帰めどは未定

サッカー部に関しては、すでに新体制でのスタートに移行している。だが、今週末21、22日の県リーグ戦は、部員の新型コロナウイルス感染クラスターの影響で再延期になった。4月20日の暴力動画拡散に端を発した延期は、コロナ禍もからんで5週連続となり、復帰めども未定だ。そんな中で、対戦校からは「(延期は)そろそろ限界」と、困惑の声も上がっており、一連の騒動余波は、しばらく収まりそうもない。

秀岳館暴力問題の経緯

◆4月20日 サッカー部の寮内で30代男性コーチが部員に殴る、蹴るの暴行を加える動画が拡散する。

◆同21日 八代署が午前8時25分ごろに同校を訪ね生徒3人から話を聞く。当該コーチは警察署で聴取。

◆同22日 選手11人がサッカー部公式ツイッターに謝罪動画を投稿。学校関係者の姿はない動画だった。

◆同23日 再生回数100万回を超えた謝罪動画が削除される。当該コーチが退職願を提出。23、24日のリーグ戦6試合が延期。

◆同25日 学校は集会を開いて全校生徒約1000人に説明。段原監督はテレビ生放送で謝罪した。一方で同監督が部員2人を加害者扱いし「完全な被害者はたぶんおれだけ」と責める音声がSNSで拡散する。

◆同26日 学校側は、音声が同監督の不適切発言だったことを認めて謝罪。段原監督は自宅謹慎処分に。暴行の当該コーチで書類送検されたことが判明する。

◆同27日 県協会と日本協会が学校側にヒアリング。入学前の中学3年生への暴力疑惑で警察の調査を受けていたことが判明する。

◆同28日 5月8日まで3週連続でリーグ戦延期。

◆5月2日 日本協会須原専務理事が学校で聴取。

◆同4日 保護者への説明会で、段原監督が謝罪。

◆同5日 初めて記者会見を実施。生徒へのアンケートでサッカー部の暴力行為38件が判明。職員から生徒への暴力25件のうち、当該コーチは24件にかかわり、5人にけがをさせた。昨秋には生徒の顔面を足で踏みつける暴力もあった。また段原監督は当初、否定した生徒の謝罪動画に関与したことを告白。同監督による生徒への暴言と動画関与を、警察が取り調べ中であることも判明。学校側は刑事処分を踏まえ、監督、コーチの処分を決める方針だった。

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