藤井聡太五冠の人気で盛り上がる将棋界。一方、その人気を生かしきれていないという指摘も。今後の棋界発展に必要なこととは。
史上はじめて10代で将棋五冠を達成した藤井聡太氏の活躍で、ここ数年、将棋界が活気づいている。2016年のプロ入り以降、将棋界歴代単独1位となる29連勝という記録を打ち立てた。テレビは連日彼を取り上げ、「勝負飯」や対局途中のおやつにまでスポットを当てた。
その藤井氏も、いまや五冠(竜王、王位、叡王、王将、棋聖)となり、次は名人戦への挑戦権をかけてしのぎを削っている。まさに、野球界の大谷翔平氏と並ぶスーパースターといっていい。しかし、残念なことに、将棋界には「そのスーパースター誕生を生かしきれていない」という声があるのも事実。そこには「構造的な問題が潜んでいる」と指摘する関係者も少なくない。
様変わりした将棋をめぐる環境
そもそも将棋は日本の知的ゲームの代表的な存在であり、庶民が気軽に楽しめる、伝統のあるゲームだ。そんな将棋も、IT技術の発達で大きく変化しつつある。
例えば、ネットテレビの「ABEMA(アベマ)TV」では、AI(人工知能)によるリアルタイムでの予想勝率や評価値が表示されることで視覚的にわかりやすくなり、野球やサッカーなどと同じ感覚で「観る楽しみ」が実現している。
藤井氏が登場してブームになって以降は、スポーツ専門誌『NUMBER』(2020年9月3日発売号=文芸春秋)が将棋をスポーツと捉えて初めて「将棋特集」を組み、その号は23万部の大ヒットになったと言われる。
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