将棋界において、厳密な意味で「女性のプロ棋士」は一人もいない。背景にはどんな問題があるのか。2児の母でもある上田初美女流四段に聞いた。
将棋界における「プロ棋士」とは、男女関係なくプロ養成機関の奨励会に入り、四段になった棋士のことを指す。一方、「女流棋士」は別の制度で「女流2級」以上の人のことを言う。
実は、奨励会を経て四段になった女性棋士はまだおらず、厳密な意味で「女性のプロ棋士」は、これまで一人も存在しない。その理由については、「将棋は囲碁以上に戦闘的で男性的なゲームだから」「男女に脳の構造の違いがあるから」など、都市伝説のような言説もある。
実際はどうなのか。上田初美女流四段(33)に聞いた。
奨励会の9割以上は男性
――将棋界はそもそも、女流棋士が少ない印象です。
(将棋のプロ養成機関の)奨励会に入っている人は9割以上が男性です。女性はマイノリティで、そこで戦うのは大変なこと。奨励会にいるだけで、(男性の圧力に)圧迫されるような気分になると聞いている。
将棋に関心を示す人は少しずつ広がってきてはいるが、現実問題として奨励会に入る女性は増えていない。
小学生以下を対象にした「テーブルマークこども大会」などのイベントでは女の子が体感で3割くらい参加する。それが研修会(奨励会の予備校的な機関。女流棋士養成機関でもある)になると女性の割合は2割くらいになる。そこから実力で上にあがっていく人は限られるので、奨励会では女性比率が1割以下になり、最高峰ともいえるプロ棋士はいまだにゼロだ。
――女性がプロになるのはかなりハードルが高いと?
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